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健康経営|他の経営課題の改善・解決へ ④ナッジ

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健康経営|他の経営課題の改善・解決へ ④ナッジ

健康経営|他の経営課題の改善・解決へ ④ナッジ

2023/11/13

健康経営の取り組みに限らず、これをやった方がいいよと言われ、通常業務とは別に何がしかのアクションをやろう思うものの、なかなか行動変容を起こせないという経験が多くの人にあるかと思います。意識するのと実際にやるのとでは大きな差がありますが、そのギャップを乗り越えるために役立つのが「ナッジ」です。

 

「ナッジ」とは、人間の特性や行動原理に着目し自発的な行動を促すきっかけを提供する手法で、コロナ禍で急速に普及しました。健康経営の文脈では、健康に無関心な従業員の健康増進や経営者の意思決定を促せる可能性に期待されています。施策をする側の利益のみをナッジは適切ではなく、行動する本人に対する倫理面を常に意識する必要があります。ナッジはコミュニケーションや環境整備の一部であり、従業員や経営者に対しての双方向コミュニケーションにより最適な環境を提供できるよう、設計・導入・評価・改善のPDCAを繰り返しましょう。

 

 

ナッジとは

従業員の行動を促すために、研修や情報提供による知識付与や計八、補助金や健康ポイント等のインセンティブ(外発的動機づけ)、法律や社内規則によるルール化等が行われてきました。ところが、知っていてもやらない、モノに釣られたときだけ行動する、強制されないとやらないというのでは自発的な取り組みとは言えません。ナッジは、どのように行動するべきかではなく、人間が実際にどのように行動するのか、つまり人間の行動や意思決定の特性に着目して、行動選択の自由を保障した上で、望ましい行動を後押しします。必ずしも正論だけでは動かない人間に対して、人間らしさと科学的側面の双方を踏まえたアプローチと言えるかもしれません。

 

例えば、人間は「面倒」と感じると直感的に行動しないことを選択する傾向があります。それを裏付けるのが、カフェでテイクアウトのコーヒーを3種類のサイズから選ぶ際、真ん中を選択する人が多くなります。日本では「松竹梅の法則」としてマーケティングで知られていますが、心理学では「極端性の会費」として学術的にも確かめられています。

 

ナッジは、2017年に米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を樹上氏、2020年に新型コロナウイルスが感染拡大したことをきっかけに、メディアや学術研究でも近年急速に注目されています。

 

 

ナッジの使い方

意思決定のステップにおける人間の主な行動特性とナッジ手法を紹介します。ナッジ手法の最大の特徴は、非合理で人間らしい私たちの行動特性、つまり合理的な意思決定を妨げる認知傾向を前提にしている点です。正しい行動をしないことを悪いと決めつけず、その特性を理解してナッジをすることで望ましい行動をしやすくするものです。

 

意思決定プロセス 行動特性 ナッジ手法
認知 ・興味がなければ見えない(限定注意)
 >脳の注意力には限界がある

・顕著性向上

 >目に留まるようにする

理解

・理解するストレス(認知疲労)

 >時間をかけて理解することは負担に感じて後回し​​​​​​

・可視化

 >ラベルやグラフを使う​​​​​​

選択
(損得計算)

・今のままが一番(現状維持バイアス)

 >考えることは負担。考えずに選ぶことを好む

・得る喜びよりも失う痛み(損失回避)

 >手にしたものを失うことの方に痛みを感じる

・みんなで通れば怖くない(同調効果)

 >選択を迫られると周囲と行動を合わせて安心する

・簡易化

 >選択肢を減らす、項目を減らす

・デフォルト変更

 >後押しする行動を初期設定する

・フレーミング

 >表現を変える

・社会規範

 >多くの人がその行動をしていること を伝える

意思決定

・約束は守りたくなる(一貫性の原理)

 >始めたことは最後までやり遂げようとする

・自分を守りたい(認知不協和)

 >自己イメージと矛盾する気持ちや行為を同時に抱えたくない

・コミットメント

 >行動することを宣言する、
  予定を書く欄をもける

・人格訴求
 >人格に訴える

 

ナッジはコミュニケーションの取り方の中でも「伝える内容」や「伝え方」の工夫なので、多額の費用をかけずに効果を発揮できる点で、企業や部署で取り組みやすそうです。

 

 

健康経営におけるナッジ活用

1)従業員の健康増進を促すために活かす

健康経営を推進する際の最大の悩みの1つが、やろうとしない従業員(無関心層)に対してどのようにアプローチするかです。健康行動の阻害要因は、①認知や感情、②環境、③能力、④実現手段 であり、どのような要因が従業員の健康増進を阻んでいるかを具体的に解きほぐすことが必要です。無関心層を健康増進の取り組みに誘導するための効果的は手法として、会社の上下関係の利用があります。経営者自ら従業員へメッセージを発する、あるいは直接の上長となる管理者が健康増進の施策を重視している姿勢を見せて率先して取り組むことを指します。

事業部ごとにチームを作りボーナス増減のインセンティブ制度を導入した例もありますが、チーム制には周囲に自分も引っ張られる「同調効果」「ピア効果」というナッジ要素が含まれています。

 

2)経営者を動かすために活かす

健康経営を効果的に進めていくためには、組織のダイナミズムを活用することが極めて重要であり、経営者のコミットメントやリーダーシップの発揮が成功の大きな要因となります。一方で、推進担当者からは、「経営層に施策を提案しても響かない」「率先して行動してもらえない」といった声が聞かれます。そんな経営者を後押しする方法として、以下の2つのナッジを活用してみてはいかがでしょう。

 

①健康経営の導入の意思決定を促す(ナッジ要素:社会規範)

経営者が健康経営を導入することが「望ましい行動である」と認識していない場合には、社会規範を示すナッジが有効です。企業活動の継続、持続的な成長に不可欠である従業員の健康増進や、活力向上につながる健康経営はCSRに資する取り組みです。また、SDGs、ESG経営の観点で健康経営を目標に掲げ、ホームページ上で公表する企業も増加しています。特に、同業・同規模の企業の取り組みや、経営者により身近な人の事例を示すことで、同調効果を発揮し、導入に向けての意思決定を促すことができます。

 

②健康経営の推進を促す(ナッジ要素:コミットメント)

やるべきことはわかっていても先延ばしをしてなかなか実行できない、という状況は「将来の利益よりも現在の利益を重視する(現状維持バイアス)」という人間の特性が関係しています。この場合、目標を自身が決めることで行動変容を促す「コミットメント」というナッジが有効です。経営者自らが健康宣言を社内外に発信することは、経営者自身にとっても実効性を持たせるという効果が得られます。

 

経営者は意思決定者であるからこそ、健康経営について周りに相談相手や伴走車がおらず、一人で抱え込んでしまっていることがあります。健康経営アドバイザーが経営者に寄り添い、一緒に考え支援することこそが経営者の健康経営の推進を後押しすることになります。

 

 

ナッジを活用するポイントと留意点

ナッジをより効果的に機能させるためには、人間が行動するためのプロセスを意識した上でナッジを導入すること、ナッジ導入後の効果を分析して、次なる打ち手に向けて改善を繰り返すことが重要です。ここでポイントなるのは、ナッジは心理的要因に対して、望ましい行動へと「そっと後押し」する内発的動機づけとしての仕掛けであるということで、心理的要因以外の環境要因への対応が行動を促すことに有効である場合は、ナッジにこだわらないことも重要です。

 

また、ナッジを活用する際の注意点として、「本人によってより良い選択を」というナッジの目的が見失われ、結果的に悪いナッジとなりかねないことです。誘導者の利益を優先し、誘導したい選択肢以外を目立ちにくくして極端に選びづらくしたり、特定の選択肢に誘導したりするなどの倫理的に問題があるナッジは「スラッジ(=ヘドロ)」と世界的に呼ばれています。ナッジは目的ではなく手段ですので、厳密性を求めるのではなく、倫理的に問題ないかを常に意識した上でいい方向に転ぶのであればそれは成功、という気軽な感覚で活用するといいです。

 

 

 

健康経営優良企業に認定された企業でも健康づくりの取り組みが継続しないケースをよく聞きます。健康宣言あるいは優良企業認定でOKではなく、従業員の健康増進は継続しなければそもそもの目的は果たせません。健康経営の取り組みでお悩みの企業さまやまだ何もしていない企業さまは、健康経営エキスパートアドバイザーであり健康管理士上級指導員、そして行動変容促進のプロであるコーチングサプリにご相談ください。

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