人材育成|入社3年以内の若手育成方法を考えるヒント
2023/09/15
新卒入社で3年以内に会社を辞めてしまう社員が3人に1人いるという話は皆さんもいろんなところで耳にしていることかと思います。その理由がブラック企業だからとか職場の人間関係というわけではなく「ゆるい職場」だとしたらどうでしょう。。。経済産業省出身で現在はリクルートワークス研究所の主任研究員である古屋星斗氏の著書『ゆるい職場』に大手企業の若手社員に直接インタビューしたり調査し研究した結果から、今の時代の若手育成手法の理想の形を示唆されています。今回はその本などに書かれている今の若手社員のニーズやそれをいかに満たし成長を促していくかの関係・場づくり、そして私が最近自分の目で直接見てきた新入社員研修の1つのやり方についてシェアいたします。
不満型転職から不安型転職へ
前述のリクルート研究所の2022年「大手企業における若手育成状況調査」によれば、現在の職場をゆるいと感じるかどうかの質問に対し、
・ゆるいと感じる もしくは どちらかと言えばゆるい
・どちらでもない
・ゆるいとは感じない もしくは どちらかと言えばゆるくない
の3つに大きく分かれ、それぞれちょうど均等に3分割に分かれる結果になっています。
もう1つ別に「大手若手社員の職業生活志向」について調べたものを見ると、
・現在の会社で長く勤めたい ⇔ 魅力的な会社があれば転職したい
・給料は低くとも落ち着いて働きたい ⇔ 忙しくても給料が良い仕事がしたい
については概ね半々に志向が分かれます。
しかし、
・プライベートを大事に生活したい ⇔ 仕事をメインに生活したい
については半々ではなく「プライベートを大事に」が約3割に増え、「どちらかと言えばプライベートを大事に」と合わせると7割にもなります。
これらから転職志向や高給志向の人でも「仕事よりもプライベートを大事に」というどちらかを犠牲にするという選択はなく、昭和世代の人からすれば欲張り、身勝手と言われそうな一見矛盾する働き方、仕事観を持っていることがわかります。
よって、仕事がきついからとか上司が厳しいから辞めるということも当然あるでしょうがそれだけではなく、逆に働きやすさはあるものの負荷がなく成長実感や変化が感じられなく時代や友人から置いてきぼりにされる不安感を抱いている若手社員もいるということが言えます。
新入社員が大人化・多様化
学生時代にアルバイトを通じて社会経験を積む人は昭和の時代からありますが、令和時代はいろんなアプリやYouTubeで自分が見てほしいものや売りたいもの、得意スキルを披露しちょっとしたお小遣い稼ぎから起業してB to Bでの取引までと社会との接点が多くあります。そのような経験をしている人はプレゼンテーションスキルをはじめ商売の基本を実体験から学び身に付けています。ちょうど『ゆるい職場』を私が主宰するワークワク読書会で取り上げたところですが、参加されたある社長さんは「会社員というだけですでにゆるい」とおっしゃっていました。自分で商取引したことがある人からすると同じように感じるのかもしれません。そんな経験を学生時代にしてきた人とそうでない人を一律に同じ教育をすれば、前者にとってはゆるいと感じるのは当然のことでしょう。
下のデータは、初めて入社した会社を辞めた理由を男女別にしたものです。1年以内で辞めた人よりも大幅に増加した3年以内で辞めた人の理由は女性の結婚・出産を除いて男女とも「キャリアアップするため」となっています。あと私が気になるのは「仕事がうまくできず自信を失ったため」という理由です。これは男女とも1年目に多いのですが、例えば昨年の新入社員はできたから今年もできるだろうと同じ仕事をさせたら全くできなかったということが前述の理由から考えられます。
若者が会社を使って育つ時代
指導する側がうまくサポートできなかったことから自信を失ったということも考えられます。成長するには何らかの負荷が必要であることは言うまでもありません。職場で考えられる負荷は仕事の量的負荷、仕事の質的負荷、関係負荷です。ハーバード・ビジネス・スクールの研究によれば、実際に成長したかどうかよりも本人が成長を実感したかどうかが成長意欲やパフォーマンスを高めるそうです。そして成長実感を感じさせるには周りからの承認やフィードバックが重要です。あと、成長実感と強い相関がある負荷は仕事の質的負荷であり、逆に理不尽な要求、意義を感じられない仕事の与えられ方や上司部下間の関係性や周囲との人間関係がよくないといった状態は関係負荷であり、関係負荷が高いと成長実感が低くなるという分析が出ています。
今の時代、属する会社以外で働く副業や兼業、あるいはコミュニティー・ボランティアといった活動やYoutube、SNSなど本業以外にも自分の時間を使っている若者は少なくありません。本業は生活をしていくために必要ではあるがそれが会社に属しているのは目的ではなく1つの手段であるという認識で若者を捉えた方がよさそうです。「会社の業績アップのために貢献してほしい」というスタンスではなく「あなたがうちの会社でこれに取り組むことは、あなたにとってこんな意義があり、会社にとっても必要なことである」というまさに社員のニーズをしっかり対話を通じて掴み、本人がやりたいという気にさせれば、多少負荷がかかっても根気よくがんばってくれるのではないでしょうか。
若手社員が若手社員を育てる事例
『ゆるい職場』の本を読んでいるタイミングで宮城県仙台市内にある㈱丸山運送さんの新入社員研修の様子を見学させていただく機会がありました。従業員数は約300名の企業で、東日本大震災で被災した後、復興を遂げ新規事業にも取り組むまでになり6年前からは大卒を積極的に採用するようになった会社です。入社後に集中的な新入社員研修をし、その後いろんな部署を経験しながら月1回の頻度で1日研修を行っています。その1日研修の企画・運営が入社2,3年目の若手社員であり、当日はセッティングから司会・進行、タイムキーパー、新入社員へのフィードバックと人事部がやっているような役割を担っていました。新入社員が積極的に手を挙げて堂々と発言する姿はもちろんのこと、2,3年目の社員の立ち居振る舞いもすばらしく、この1日研修は双方が成長できる絶好の場であることを見て感じました。
<メリット>
・一番身近な先輩による研修は関係負荷が低く成長実感が高まりやすい
・先輩社員の自分が受けた経験を踏まえて研修内容・方法を更新できる
・先輩社員がインプットしてきたことをアウトプットすることでより身に付く
・外部の研修講師にかかる費用が浮く
・人事部の新入社員研修の負担が減る
もし、3年以内の離職率が高いとか社員育成について見直したいという企業さまは関係負荷が低い育成方法や職場環境づくりの支援をコーチングを軸に行なっている弊社へお気軽にお問い合わせください。
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