1on1ミーティング|プロコーチが教える部下に考えさせる3つの問い
2022/07/14
女優の尾野真千子さんが出演されていたテレビCMの中で、「今日は答えが欲しくて」「答えを持ったらそこで終わり」「えっ?」「問いを持ったらそこが始まり わからないことのほうがワクワクしない?」というやりとりがありました。上司が「こうすればいいんだよ」と答えを与えるのはたやすいが、部下の思考はそこで終わってしまうものです。主体性を備えてほしいと考えるマネジャーが多いものの、実績を積んだマネジャーほど真逆の指導、マネジメントをしがちです。
いろんな会社で上司と部下の間で交わされるようになってきた1on1ミーティング(コーチング)を行うにはコーチングスキルを身に付ける必要がありますが、この問いを使えば、部下に考えさせることができるというものを紹介します。
- ○ 「なぜ?」という素朴な問いの威力
- ・「なぜ?」を生み出す条件
- ・なぜ5回の法則
- ○ 思考の枠を取っ払う問い「もし○○だったら?」
- ○ 思考のスイッチを入れる問い「どうすれば?」
- ○ ミッション・クエスチョン
「なぜ?」という素朴な問いの威力
幼い子どもが初めてのものを見たり聞いたり体験すると、「どうして?」「なんでそうなの?」と目を見開いて大人に質問攻めしてきます。すると、大人は「それって何だっけ?」と知っているつもりだったのに意外と知らなかったり覚えていなかったりして答えるのにアタフタします。子どもが問いかけるのはは意識してやっていることではなく知りたい欲求や本能に基づくものであり、大人はわかっているつもりになっているに過ぎないということです。当たり前と思っていたことに「なぜ?」と問いかけられることにハッとする経験は意外と多くの人が経験していることだと思います。
「なぜ?」を生み出す条件
私たちが普段とっている行動の8割は無意識の行動です。なぜかというと、いちいち立ち止まってあれこれ考えていると物事がスムーズに行えなくなるからです。脳も自動運転を好み、習慣や行動を変えることを嫌がるものです。だから大人は自然と「なぜ?」と考えなくなってしまうわけです。
相手の能力を対話で引き出すコーチはあえて当たり前のことを問いかけます。「なぜ?」「どうして?」「何が原因で?」といったそもそもに焦点を当てることでクライアントが普段考えなくことにフォーカスさせます。部下をコーチングしたり上司自身のセルフコーチングを行う際にけっこう苦労する問いもこういった類のもので、どうすれば「なぜ?」の問いかけができるのでしょうか。
<「なぜ?」を生み出す条件>
・一歩後ろに下がる
・相手が何を見失っているのかに気をつける
・前提条件(自分たち自身を含む)を疑ってかかる
・前後関係をよく見極めながら、つまり「文脈的探究」を通じて、足元の条件や問題の理解を深める
・いま抱いている疑問を宇賀田宇
・特定の疑問や質問については自分が主導権を握る
なぜ5回の法則
神経学者ロバート・バートン曰く「何でも知っているという感覚を持つと、私たちは好奇心を失い、新しいアイデアや可能性に対する感度が鈍くなる」。
とくに上司が陥りがちなのが、自分の知識を過大評価し、自分の本能的直感を信じ込み、自分が実際よりもはるかに多くの答えを持っていると確信して我が物顔で歩き回るようになり、質問をほとんどしなくなるということです。また、部下に対する思い込みも問いかけを妨げています。思い込みを脇に置いて、部下に関心を持って話を聞く(傾聴)することで「なぜ」が止まらなくなるのではないでしょうか。騙されたと思って「なぜ」の5連打で相手の考えの源になっているものを探究してみましょう。
<なぜ5回の法則>
(例)
「なぜ運動するのか?」⇒「健康に良いから」
「なぜ健康に良いのか?」⇒「心拍数が上がるから」
「なぜそれが重要なのか?」⇒「もっとカロリーを燃やせるから」
「なぜカロリーを燃やしたいのか?」⇒「体重を減らすため」
「なぜ体重を減らしたいのか?」
⇒「健康そうでないと将来のキャリアに影響するかもしれないから」
子どもが「なんで?」を何度も繰り返すように「なぜ?」の問いかけをするだけで、深層心理にアクセスできるというわけです。
思考の枠を取っ払う問い「もし○○だったら?」
芸能人のメディアのインタビューで「映画のタイトルにかけて、もし魔法が使えるとしたら?」という質問を何度か聞いたことがあります。記者はその芸能人がまだ表に出していない真の姿を聞き出したいという目的で使っていますが、インタビューの場面だけでなく、コーチングではクライアントの思考の枠、限界を取り除いて自由に考えてもらうための質問の1つとして使います。
「もしあと3年しか生きられないとしたら、何をしたいですか?」
「もし絶対に失敗しないとわかっていたら、何に挑戦したいですか?」
「もしあなたが社長だとしたら、いまやるべきことは何だと思いますか?」
思考のスイッチを入れる問い「どうすれば?」
先述の「なぜ?」は過去の出来事について、「もし○○だったら?」は現在の仮説、そして「どうすれば?」は未来に焦点を当てています。つまり、時間軸をずらしたり行ったり来たりすることでコーチはクライアントに深い思考と気づきをもたらします。
「どうすれば?」はアクションプランを立てるときにも使い、コーチングでは3つ以上のアイデアを出してもらうようにします。注意が必要なのは、「できそうか?」のニュアンスを持った「どうすれば?」の問いかけです。部下の防衛本能が働いて妥当な(面白みのない)アイデアしか答えてくれません。
Howの「どうすれば?」という問いは創造的な問題解決を促す役割があります。Howは解決法があることを前提とし、創造性に対する確信を与えます。
ミッション・クエスチョン
社内の1on1ミーティングであれば、会社のミッション・ステートメント(意思表明)を質問に変換すると、私たちが目指しているものはこれで、まだそこに至っていないことはわかっているが、ここに向かって旅をしているというメッセージを世界に表明できるだけでなく、組織の課員が常にその問いを持って考え、主体的に行動できるようになります。
日本にもあるホスピタリティに長けている外資系ホテルであるリッツ・カールトンは、「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」をモットーとしています。ホテリエ(ホテルスタッフ)は「いまの自分の振る舞いは紳士淑女であるか?」と自問自答しながらゲストに接しています。
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