ワークエンゲージメント|日本企業がこの5年で変わったこと
2026/09/13
日本のワークエンゲージメント(組織に対する貢献意欲)は世界と比べて低いと言われ続けていますが、最近のGreat Place To Work®の「働きがいのある会社」ランキングによれば、この5年間で先進国7か国中最下位から3位に浮上したことがわかりました。いったい日本企業がどう変化したのでしょうか。
ワークエンゲージメントと従業員満足度の違い
「ESなくしてCSなし」というフレーズを何十年か前によく聞きました。会社は従業員を満足できなければ、その従業員は顧客を満足させることはできない。この考えはいつの時代も真なりです。が、おそらく当時は従業員満足=従業員の不満を取り除く(例:報酬を増やす) に重きを置かれていたような気がします。その結果、ESは上がったのにCSは上がらないという現象が起きてしまい、ただ従業員が喜ぶようなことをしてもダメだということがわかりました。
ハーズバーグの二要因理論
アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論によると、人間が仕事に満足度を感じる要因と不満足を要因は全く別物と言う考え方があります。仕事の満足度を引き起こす要因(動機づけ要因)と不満を引き起こす要因(衛生要因)は違い、仕事を満足感を引き出すには動機づけ要因にアプローチをしなくてはいけないということです。

ワークエンゲージメントと従業員満足の違いは次の通りです。
・熱意を持って動く状態 ⇔ 不満がない状態
・自分がいかに組織に貢献できるか ⇔ 会社がいかに自分に何かしてくれるか
・会社と従業員が双方向 ⇔ 会社は従業員に一方通行
・動いてくれる社員 ⇔ いてくれる社員
・主体的、能動的 ⇔ 受け身、現状維持
社員が会社を辞める理由
社員が会社を辞める理由は、
・給与・待遇への不満
・上司との関係がよくない
・会社への不信感
・人間関係のストレス
・休みが取りづらいなど働き方が限界
などの衛生要因(不満足要因)だけではなく、
・頑張っても報われない
・成長できそうにない
・仕事の意味を感じられない
といった動機づけ要因(満足要因)があることから、働きやすさだけでなく働きがいを若い人も求めており、いかに社員自身がその組織で働くことに対する動機づけ、意味づけが必要ということがわかります。
この5年の日本企業の変化
5年前を思い出してみましょう。ちょうど新型コロナウイルスでパンデミックが起こっていましたので、それを機に柔軟な働き方ができるようになったのと、日本企業が抱えている経営課題に着手し、その効果が表れてきた結果と考えていいかもしれません。
日本企業の経営課題と取り組み
・終身雇用の崩壊→安定だけでなく会社への共感・信頼とビジョン
・人手不足の深刻化→働き方の多様化(例:リモートワーク)に対応できる柔軟な働き方
・過去のやり方が通用しない→提案力・創造力を引き出す心理的安全性があるマネジメントスタイル
また、Great Place To Work®の調査結果から、他国と比べて日本は“公正”の要素が高まってきていることがわかりました。

日本企業の弱み
一方、他国と比べてポイントが低い項目がまだまだあります。

これらは“心理的安全性”と“適切な人員配置”が関係しており、働きがい・動機づけ要因が不足しています。
私が企業で定着・社員育成を目的とした面談を行いますが、その面談の中ではその人自身の価値観・労働観は何かのアンテナを立てながら話を聴いたり、価値観を見つけるアセスメントを行なっています。
労働観は主に6つの考え方に分類することができるようです。
・大きな仕事をしたい
・コツコツ働きたい
・顧客・世の中・組織のために働きたい
・報酬のために働きたい
・スキルアップのために働きたい
・プライベートを優先して働きたい
2000年代の調査では、“大きな仕事をしたい”が圧倒的に最も高い労働観でした。また、同調査では‟大きな仕事をしたい”と“顧客・世の中・組織のために働きたい”の労働観を持っている人が仕事に対するモチベーションが高いこともわかりました。仕事へのモチベーションが上がる三要素というのがあります。①危機感(即効性はあるが成果は低め)、②快感(即効性はあるが継続しない)、③自己重要感であり価値観です。周りに自分のことを認められているという存在承認や価値観に基づいた自己実現や成長の実感が感じられているか否かが重要です。

令和時代の労働観とおすすめの取り組み
産業能率大学 総合研究所が2026年度の新入社員を対象に意識調査したところ、働く上で重要なことが“仕事と私生活のバランスがとれること”が最も高かったことがわかりました。
戦術
前項の2000年代の調査がいろんな階層に調査したものであるため、異なって当然でもありますが、今の若い人は働きがい以前に働きやすさ(衛生要因)を重要視していることがわかりました。
それを踏まえて中小企業が実践した方がいいことは、
・月1回30分の1on1面談(部下認識・部下自身の自己認識と成長支援)
・存在承認(感謝・労いの言葉で認められている実感をもたらす)
・形骸化や時代にそぐわない古い慣習・習慣を止める
・公平な評価制度
・経営理念、ビジョンの共有
です。
やれることから取り組んでいきましょう。
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