1on1面談|離職防止とエンゲージメントアップの両立のポイント
2026/08/19
アメリカの経済雑誌『フォーチュン』が毎年発表している売上高上位500社にランキングしている企業の74%が社内コーチングを導入しており、社内コーチと外部コーチを連携させた場合、ROI(投資利益率)が3倍もアップしたという調査結果があります。中小企業でも1on1面談を取り入れる企業が増えていますが、外部コーチである私の肌感覚ではフォーチュン500のような経営レベルの効果というよりは人材レベルの効果に留まっているように思います。
より組織が機能し結果につながることを目的としたコーチングを行うならば、外部コーチと社内コーチの両輪で望ましい変化を促進していく方法があります。
外部コーチと社内コーチの違い
外部コーチ
コーチングを専門に行なっているスペシャリストであり幅広い視点を得られたり、そのコーチが得意とする分野を強化したいときに有効です。また、それ以上に社内の人間関係のしがらみがないことから完全な心理的安全性を担保できるという点が大きいです。社内コーチでは難しい経営幹部のコーチができるのも外部コーチの利点です。
社内コーチ
一方、社内コーチはコーチングスキルを習得した社員であり、部門横断的に社員をコーチングしたり、社内コーチが管理者クラスであれば、部下育成やリーダーシップの実践にコーチングを活用していくことができます。組織の文脈を理解していることから外部コーチよりもスピーディーにアクセスしやすく、さらにコーチングを受ける側もコーチする側も共に成長する利点があります。
管理者が部下を定期的にコーチする場合、業務の流れの中で行わる1on1が多く、組織の優先事項や開発目標をリアルタイムで強化できる一方、管理者が自分の持っている答えに誘導するリスクも考えられます。その場合、心理的安全性は損なわれてしまうため注意が必要です。
1人の管理者が6人~10人を定期的に1on1を行なっているケースはありますが、実際問題として時間的余裕がないことが多いのと、そもそも上司と部下の関係が良好で部下がのびのびと業務に励んでいれば、わざわざコーチングを行なう必要もなく、信頼関係がない中で社内コーチを務めることは難しいので、それでも上司が1on1を行なうのであれば、まずは関係構築をテーマとしたコーチングになるでしょう。
AIを活用したコーチング
AIは業務の効率化に様々なところで使われていますが、コーチングも対話型AIがコーチの代わりになったり、AIをうまく活用しハイブリッドで行う流れも出てきているようです。プロコーチがコーチングセッションの中で大切にしているのが、クライアントが話した言葉や内容(バーバル)以上に言語以外(ノンバーバル)の表情、視線、態度であり、そこはAIが苦手としている部分であるので、AIはコーチの代替というよりはコーチングの質を高めるツールとして活用するのがよさそうです。例えば、ミーティングの要約とアクションの記録、セッションの振り返りのプロンプトなどです。
AIとハイブリットで行う場合
・戦略とガバナンス…コーチングの理念、方針、予算、ROIフレームワーク
・インフラとマッチング…コーチのマッチングの仕組み、契約、データシステム
・実施と調整…マネージャーとの進捗確認、社内コーチと外部コーチの調整
・測定と改善…成果の追跡、クライアントからのフィードバック
外部コーチと社内コーチの使い分け
私がいろんな会社でコーチをしていて外部コーチが機能するのは、全社的な取り組み(経営方針づくりとアクション、経営者・管理者間の連携強化)や心理的安全性が担保できる利点を活かした離職防止・メンタルヘルス不調の予防を目的とした1on1面談、そして経営者や管理者ならではの問題・課題にフォーカスしたコーチングです。
一方、外部コーチが入り込めない実務的なところ(例:業界特性、オペレーション、技術的指導など)はコーチングスキルを持った管理者や先輩が行い、それによって信頼関係と相互学習が深まり、目の前の課題、目標をクリアしていくプロセスを通じてエンゲージメントを高めることができます。
ちなみに私は元々エグゼクティブコーチングをさせてもらったクライアント先で、数年後に社外取締役となって経営と人材育成に関わるという機会をいただいています。その利点は社外コーチにはできなかった全体最適化に取り組めるということです。社外コーチは対象の社員がハンドリングできる領域にフォーカスしてコーチングを行うのでどうしても部分最適になります。しかし、社外取締役になって社内会議や社内イベントに出るようになると、売上高や経費といった数字から経営課題や社内の問題、社内文化を目の当たりにすることができたり、社員との距離も近くなり情報が入りやすくなることを実感しました。心理的安全性を保ちながら、役員として言うべきことはしっかり提言するといういわゆる相反する役割を担っているので、そこのバランスは試行錯誤中ですが、コーチの勉強会でその話をしたら「今後はそういうコーチが増えていくのではないか」という声が出ました。
ともかく、心理的安全性がなければエンゲージメントは上がらないのはいろんな調査で実証されていますので、コーチングをまだ社内で導入していない会社はまずは外部コーチを試しに導入し、手ごたえを感じたら社内コーチの育成、そして両者を使い分けてコーチングを社内に根付かせていくことで、社内のコミュニケーションやマネジメントスタイルも双方向で風通しがよく創造性のある対話が増える働きやすく働きがいがある職場になっていくでしょう。
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