キャリア形成｜VUCAの時代を生き抜くには

「キャリア○○」の○○には何が入るでしょうか？　キャリアアップ、キャリア面談、キャリアパス、、、少し時をさかのぼればキャリアウーマンという言葉もあります。リクルート系の転職CMでもキャリアを強調したものを見聞きします。私たちがイメージしているキャリアという言葉は、もしかしたら一部の人、とくに自分のスキルを高めてさらに高い役職や立場、あるいは高レベルのプロフェッショナルな仕事を求めている人を対象に捉えている節があるのではないでしょうか。実際はそうではなく、誰もがキャリアを考えるべき対象者であり仕事に限りません。とくに今の時代はキャリアという言葉の意味を知って自分の長い人生を考えていく必要がありそうです。

 

 

キャリアの意味

辞書で調べると英語で生涯、経歴、履歴 という言葉が出てきます。が、元々は通り過ぎた車輪の跡である轍（わだち）です。つまり、人生の足跡（経験）とこれから歩んでいく道のり（目標）であり、その人がどんな仕事をしようがしまいが足跡が残る訳でだれにでもできるもので、キャリアを２つに分けて見ることができます。

 

・ワークキャリア…職業上の経験

・ライフキャリア…人生を構成するすべて

 

そして、ワークとライフが相互に影響し合っていますし、キャリアは見えているものだけではありません。一般的にキャリアと聞いてイメージするのは職業、職歴、ステータス、賃金など外的キャリアです。それだけではなく価値観、やりがい、意味、動機づけといった内的キャリアもキャリアに含まれます。

 

 

キャリア自立の重要性

企業内でキャリアパスを用いて社員にキャリア面談を行っているところが大企業に見られます。その目的は定着率の向上、職場の問題解決、自律型人材の育成かと思います。今回私がキャリアを取り上げているのはそういった企業側のメリットというよりも従業員側のメリットを働く人たちに知っていただきたいという思いからです。

 

〈誰もがキャリア自立の必要な理由〉

１）年功序列や終身雇用が崩壊

実力主義になり、誰もがある一定のところまで役職が上がるとは限らず、職業人生のゴールが見えづらいし人生設計が立てづらくなった

 

２）人生100年時代

平均寿命の延伸でリタイア後の人生が35年以上に。それなのに年金制度の崩壊により生涯現役、働き続けなければいけなくなった

 

３）価値観の変化

働き方、ライフスタイルが多様化。リスキリングという言葉があるように幾つになっても自己啓発や余暇の時間を自ら作る必要が出てきた

 

要は人生は列車のレールのようなものではなく、自分で自分の人生をハンドリングして轍を作っていく必要がありますし、見方を変えれば自分が何をどうやってやっていくかを自分が主体的に考え計画を立ててやっていけるということです。つまり、キャリア形成＝人生設計なです。

 

 

キャリア面談の活用

L・サニー・ハンセンの著書『総合的人生設計』で人生の４つの役割 ①労働（Labor)、②愛(Love)、③学習(Learn)、④余暇(Leisure）を示し、家庭における役割から社会における役割といった人生におけるすべての役割をライフキャリアという新しい概念を提唱しました。

 

冒頭でお伝えしているようにキャリアを狭義で捉えるのではなく広義で捉え、もしキャリア面談を受ける際や人生の岐路に立った際、自分は人生で成し遂げたいことは何だろうか？と考えて新たな轍を作っていただきたいものです。

 

よって、キャリア面談は正社員だけに留まりません。

 

〈キャリア面談の対象者〉

社長、役員、管理職、一般社員、派遣社員、パート、アルバイトなど社内全員

 

〈キャリア面談のテーマ〉

キャリアプラン、部下育成、会社への不満、ハラスメント、セカンドキャリア構築、リスキリング、ライフ・マネープラン策定、メンタルヘルス、仕事との両立（家事・育児・子どもの不登校・介護など）、女性活躍推進など

 

 

キャリアアップという言葉がありますが、キャリアは上り調子を誘うわけではありません。家庭の状況や自身の健康問題から途中でペースを緩めたり、場合によって一休みを入れたりしながら柔軟にキャリアプランを上書きしていけばいいのではないでしょうか。ちなみにキャリアコンサルタント曰く、キャリア面談は1年に1回は実施した方がいいとのことです。キャリア面談といった形式ばった機会に限らず、1on1などで上司と部下が仕事や人生について雑相（雑談からの相談）をしてみては。すると、部下の価値観や仕事に何を望んでいるのかも理解できるはずです。