人材育成|可能性を拓く聞き出す能力に必要なもの
2025/09/26
部下を持つ人ならば、部下の成長を促すためのコミュニケーションを日常的にとっていると思います。また定期的に行うものとして人事評価面談、1on1(コーチング、目標管理面談)などがあり、それらを活用している会社も増えているでしょう。そういった場で面談する側、コーチする側は効果的に話を聞き、部下本人に気づきや学びを促し、行動につなげているでしょうか?
企業研修や企業内コーチングをおこなっている中で、ある依頼先から「聞き出す能力」をどうすれば高められるか?というご質問をいただいたことがあったので、そのことについてご紹介します。
1on1がインタビューで終わっていないか
「上司は指示命令するだけでなく、部下の話を聞くのが大事」だということはいろんな所で言われるようになり、わざわざコーチの私が言わなくても理解している企業が多くなりました。さらに1on1という名前でなくても、上司と部下が1対1で定期的に従来の面談ではなくコーチングを導入する企業もちらほら見聞きします。では果たしてそのコーチングはコーチングになっているでしょうか?
会社やそこで働く社員が成長するには、何が必要なのかを対話を通じて考えるのが社内のコーチングなのに、当り障りのない質問と即答できる答えのキャッチボールで終わり、その後何も残らないというのが多いにしてあります。
なぜそうなってしまうかというと、コミュニケーションやコーチングのスキルがないというのもあるでしょうが、部下に考えさせようという意識が薄かったり、所詮正解は上司である自分が持っているという自負があったり、最近考えられるのが「こんなこと聞いたら、気を悪くして辞めちゃうんじゃないか」という思いから対立を生まないように上っ面の会話で終わってしまうケースです。
聞き出す能力のレベル
レベルにはコーチング初心者程度の入門から、予定調和で終わらせない上級まであります。
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入門 |
部下に自分が知りたいことを聞き出している |
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初級 |
部下が抱える問題や悩みだけでなく部下の心情も聞き出している |
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中級 |
部下の解決策に視点は向いているが、両者にとって居心地のよさを超えることはないまま、顕在化されている答えを聞き出している |
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上級 |
時には部下とコンフリクト(対立)があるものの、内省や気づきを |
ある企業で研修した際に、自分がどのレベルか自己評価してもらったところ、上級に手を挙げた人は約50人中たった1人でした。相手の思考や感情を聞き出すことはそれほど難しいと言って過言ではないようです。それができるようになるには少なくとも下記の3つを知っておいていただきたいです。
アサーティブ・コミュニケーション
アサーティブとは簡単にいうと、自他共に尊重しながら自己主張する方法やあり方のことです。自己主張という言葉のイメージは日本の場合、我がまま、自分勝手、自己中心的というネガティブな印象があります。が、本当の意味での自己主張とは自分が思っていることを建設的に相手に伝えることです。
自己主張の3つのスタイル
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特徴 |
自他への影響 |
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攻撃的 |
相手のことより自分の立場を守る |
自分の目的達成のために人を犠牲にする |
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相手のことは考えず強引 |
相手から選択権を奪う |
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相手より優位な立場に立つことを選ぶ |
相手は防衛的になる |
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受身的 |
自分のことは後回しで相手のことを優先する |
自分の感情が表れるのを恐れる |
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自分の考えややりたいことは控える |
人の選択を優先させるために不満や不安が伴う |
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感情を抑制する |
自分の欲しいものを手に入れられない |
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アサーティブ |
言動に幾つかの選択肢を持ち、選んでいる |
感情に素直である |
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結果に責任をとる |
選択肢の中から自分で選んでいる実感がある |
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自分と相手の両方にとって有益な手段をとる |
目的を達成する |
令和の時代になり、対面でのコミュニケーションを苦手とする若い世代が増えてきましたので、アサーティブ・コミュニケーションは上司側だけでなく部下側にも知っておいていただき、会話のキャッチボールとは真逆のパワハラのようなドッジボールにならずに社員の定着を図るのも大事なことです。
フィードバック
立場関係なく相手を尊重することがコミュニケーションで大事なことがわかり、上司と部下の間の信頼関係ができてきたら、次はフィードバックです。部下がやっている行動・言動が目指す方向とどのくらい誤差があるかを貴重な情報として伝える必要があります。
部下のやり方がうまくいっていないときや変えてほしいときに上司は注意することが多く、やってはいけないことや危険を伴うとき、緊急性があるときはもちろん注意や指示が必要です。ただ、部下が自分の行動を振り返る余地があり、考えさせて失敗を失敗に終わらさず、成長を促したいのであれば、ネガティブなフィードバックをしなければなりません。
ネガティブなフィードバックをする際に気を付けていただきたいのは4つです。
1.できるだけ起きた直後に客観的で具体的なフィードバックをする
2.自分が相手に期待していることと感じたことを伝える
3.フィードバックを伝えた後、相手にそれを聞いてどう思ったかを聞き、必要ならばフォローする
4.ネガティブなフィードバックだけでなくポジティブなフィードバックも伝える
リフレクション
リフレクションとは内省、気づきを意味する言葉で、反省とは少し異なります。
・反省=自分の行動や結果を振り返る
・内省=自分の心や思考を見つめる
リフレクションのプロセス
プロセス1「出来事を振り返る」
↓
プロセス2「他者および環境を振り返る」
↓
プロセス3「自己について振り返る」
人の行動にはその行動を起こす前の思考があります。例えば「~するべき」「~でなければならない」といったものです。さらにその思考の前には感情があります。ポジティブな感情だったりネガティブな感情です。起きた出来事に対してまず何らかの感情が働き、その感情が湧いた思考があり、感情的な反応もしくは理性的な対応といった行動に現れます。
なので、反省だけでは人はなかなか変わらず、その源となっているのは何かをリフレクションすることが指示命令(理由はともかくやれと言われなことは何も考えずにやる)とコーチング(主体性と望ましい行動を促す)との大きな違いであり、その源となっている部分を聞くことが聞き出すということにつながります。
中小企業の中間管理職のあるクライアントは、自分より年上のベテラン社員と若手社員の間で自部署の生産性や若手育成で困っており、本当はベテラン社員と自分との関係性をよくしないといけないとわかっていたものの、対立することを避けて距離を置いていました。内省してもらったところ、「自分がベテラン社員を説得しなければならない」と。でも説得というのはどちらかというと一方的なコミュニケーションです。キャリアも年齢も浅いその中間管理職がベテラン社員にした方がいいのは、力を貸してもらうことです。それを「説得しなければ」というよろしくない思い込みに縛られ、逃げていました。
その中間管理職自身は自分自身の成長がなければ会社の成長もないと自覚していたことから、対立というリスクを覚悟して自分の行動を変えてベテラン社員と対話をする決心をしました。
皆さんも対立を恐れず、欧米人のように自他を尊重しながら自己主張し、現状打破をしてみてはいかがでしょうか。
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