内省支援|Chatter 頭の中の独り言の活かし方
2025/02/28
私たちは日頃誰かとおしゃべりしていますが、自分自身ともおしゃべりしています。例えば「今日はどの服着て会社に行こうかな?」「今日のプレゼンまた失敗しちゃうんじゃないだろうか?」とか。この自分自身との対話、頭の中の独り言(Chatter)についてご紹介します。
自分自身との対話に注目すると気づくと思いますが、自分の行動を選択するための健全なものもあれば、過去からずっと答えが見つからず堂々巡りでずっと心の中にある重たい不健全なものもあります。最近企業内でも行われているコーチング、1on1ではアクション後の振り返りをしながら内省する機会を得ますが、そこがうまく行われないといつまで経っても行動が変わらないですし、逆に悪い方向に向かうリスクもあります。よって、頭の中の独り言の活かし方を一緒に学びましょう。
頭の中の独り言の正体
チャッターは感情や行動の引き金として自分の中に生まれる言葉であり、ほとんどの人は内なる声を頼り、そこから恩恵を得ています。その私たちの内面における独り言のスピードは、1分間に4,000語を発するのに匹敵するそうです。話せる言語数が200~300語、聞ける言語数が500~600語とされていますので、どれだけ速いスピードで頭の中を独り言がぐるぐる駆け巡っているかがわかるかと思います。だからこそ自分が考えていることを誰かに話したり紙に書くことが大事というのも合点がいきます。
意図的に自分自身と対話をすることは内省であり、それによって問題解決、イノベーション、創造することができるとされています。ただし、近年の多くの研究によって、苦痛を感じているときに内省を実行しても有害無益であり、ネガティブな思考と感情が循環し負のスパイラルに陥ってしまいます。
間違った内省によるリスク
・仕事のパフォーマンス低下
・適切な判断を下す能力の阻害
・人間関係への悪影響
・暴力や攻撃性の助長
・精神疾患
・体調悪化のリスク高まる など
よって、いかに頭の中の独り言をコントロールするかが最良の行動を導くカギとなります。
自分のネガティブな内なる声を制御するには
1)距離を置いた自己対話
-自分のことを「私は~と思っている」ではなく「あなたは~と思っている」
2)友人に助言していると想像する
-同じ問題を抱える友人がいたらどんな言葉をかけるかを考える
3)視野を広げる
-視野を”長い人生””広い世界”に広げて考える
-視座を変え、自分が尊敬する人ならどう対応するか想像してみる
4)経験を試練としてとらえ直す
-今直面する状況を脅威ととらえず、克服できるいい機会とする
-視点を変え、過去の悩みをどう克服したかやどんな学びがあったかを振り返る
5)チャッターによる身体反応を解釈し直す
-大事な場面でドキドキしたり汗をかくストレス反応をストレスと解釈せずに
試練に立ち向かうための応援ととらえる
6)経験を一般化する
-自分に起きたことは特別ではなく、誰にでもありがちな経験とする
など
部下(他者)のネガティブな内なる声を制御するには
部下の内省をうまく手助けする方法として
1)感情・認知面のニーズに応える
-話を聴き部下の言い分を共感するだけでなく、視野を広げその経験を普遍化しながら
具体的な方法を導き出す
2)目に見えない形で支援する
-間接的な支援、目立たない形で実際的な支援をする
例:部下と似た経験をした人の話を一般論として語る
3)ボディランゲージで励ます
-信頼関係のある人同士であれば、握手や肩を組むといった行為は
チャッターを和らげる効果があるため、できる範囲で言葉と合わせて態度で励ます
4)ルーティンを用意する
-ネガティブな内なる声が出ないようにそれまでの一連の行動を定型化することで
感情ではなくその行動に意識がいくようにする
5)お守りを用意する
-「これがあれば大丈夫」とうまくいくようになることを信じさせる
など
自分自身のために、あるいは誰かのために頭の中の独り言(とくにネガティブな独り言)をプラスに変えるには、まずだれかに話を聴いてもらう、または聴いてあげることで「感情的な欲求」を満たすことです。多くの人がいいことよりも嫌なことを他人にベラベラ話したくなるのは人間が生存するための本能です。ただ、それを満たすだけで終わってしまうと負のスパイラルに終わるし、状況は変わりません。なので、その後に「認知的な欲求」という問題の解決策にも焦点を当てて闘争・逃走反応ではなく理性で対応できるようにしていくことがネガティブなChatterを減らし、健全な精神で前向きな行動がとれるようになる方法だと言えます。
Chat(ter)は雑談、おしゃべりという意味です。周りの人とおしゃべりしながら、自分がいま何を考え、思っているかを1分間4,000語の頭の中の独り言から時々気づく機会を設けてみてはいかかでしょう。
※参考文献 イーサン・クロス『Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』
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