研修事例|現場とトップをつなぐ現場責任者のリーダーシップ研修
2024/10/25
最近、中堅企業の現場責任者の3時間研修を行う機会があり、あらためて感じたことがありました。
私が企業研修の講師を務める際、テーマや受講者の人数によってはワークショップスタイル(ディスカッションの比重が高い)で行うのですが、最初にアイスブレイクを入れて受講者の口を滑らかにし話しやすい場づくりをするのと受講者がどんな人なのかを講師がつかむのに有効です。さらには研修のテーマに関するアンテナを受講者に立ててもらう狙いもあります。
今回『リーダーシップ』がテーマの研修ということで、アイスブレイクに「あなたが今まで属したチームや班などで、属してよかったと思えたのはどんなチームでしたか?」という問いを受講者に投げました。「そのチームは社会人になってからだけではなく子どもの頃や学生時代のチームでもいいですよ」と補足したのですが、ほとんどの人が考え込んでしまいました。
が、アイスブレイクなので全員に1人ずつしゃべってもらおうと順番に振っていくと、多くの人は中学から大学の部活動やアルバイトの話をし、少数派は「遡って思い出そうとしたがチームに属したことがないし、会社で仕事をしていてもチームという意識がない」ということでした。それは私にとっては衝撃的でした。なぜならリーダーシップはリーダーシップ本を読めばその能力が開発されるというものではなく、経験やチームのメンバーとの関係性の中で後天性の能力であるリーダーシップが身に付いていくからです。自分の親の言動や態度、生き様を見て「こんな親になりたい」「こういう親だけにはならないようにしよう」と思うのと同様に、モデル(もしくは反面教師)となるリーダーを間近で見て自分が鳴りたい理想のリーダー像というものができあがり、それを真似していくのが手っ取り早いわけです。
会社組織は個人競技の部活チームに近い
私は中学から大学まで陸上部に属していました。個人競技なのでチームという感覚は希薄なものの、とくに大学は陸上の強豪校で男女ともインカレ団体優勝をした部だったこともあり、いま振り返ると言葉にはしなくとも「インカレ団体優勝に向けて頑張ろう!」というベクトルがあり、選手同士が切磋琢磨していたように思います。これは会社組織に近い感覚だと思います。
・陸上部>ブロック別(短距離、中長距離、跳躍、投擲、混成)>種目別>選手一人ひとり
・会社組織>事業部別>部・課>社員一人ひとり
グループとチームの違い
グループとチームの違いを下表に記しましたが、チームの特徴を一言で言うのなら、あるゴールを目指して協働し1+1=2を超えるシナジーがあるかどうかではないでしょうか。営利の会社組織は利益を生み出す必要があり、業績(企業価値)を高めていくのが使命です。そういう特性を考えると会社組織がチームとして機能していないのはいかがなものでしょう。
グループ |
チーム |
同じ性質の仕事を各々がしている 画一化されたサービスを行う 総力は足し算 |
ある目的のために協力して行動する 得意分野を役割分担して効果を上げる 総力は掛け算(無限大) |
あなたが属している会社、部・課はチームですか?
リーダーシップもマネジメントも必要
リーダーや○○長という役職の人は現場寄りの人はリーダーシップ、管理職はマネージャーの役割を担っていると思いますが、実は両者とも両方の機能を担う必要があります。
リーダーシップ |
マネジメント |
組織をより良くするための変革をする 正しいことを行うために伝える なすべきことをやりたい気持ちにさせる |
現在のシステムをうまく機能させ続ける 維持するために管理する なすべきことをやらせる |
なぜなら、いま求められる上司は権力だけでは部下を動かせないからです。いかに部下にやりたい気にさせるかです。
リーダーの柄じゃない人でもリーダーシップを発揮できる
またしても私の経験談になりますが、私はずっと個人競技をやってきた人間ですし、みんなと協力して何かやるよりは一人でやりたいことをやる方が向いているタイプです。リーダーになった経験も学校で班長になるくらいでした。そんな私が会社員時代にある期限付きの仕事を任され、いろんな課や現場の人に協力してもらわないといけない状況に身を置くことになり、上司が私をリーダーという立場ではなくとも任せてくれてその結果プロジェクトを無事に完遂できたのが自信につながりました。
さらに、私が会社を辞めてコーチングを起業してから、「誰もがイキイキと働ける組織づくりをしたい」とか「ジョギングのよさを伝えたい」というやりたいことを実現していくのに自然と行動を起こせました。リーダーシップの源はそういう熱意であり、チームのリーダーは一番熱意のある人が適していると言えるんじゃないでしょうか。だから誰もがリーダーになれるしリーダーシップを発揮できるはずです。
会社組織で部下を持っている人やチームのリーダーに問います。
熱意を持って仕事をしていますか? 仕事を通じてやりたいことは何ですか?
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