人材育成|褒める効果と褒め上手になるコツ
2023/06/29
コーチングのスキルの1つである‘承認’、その中でも普段あまり機会が少ない‘褒める’についてシェアします。名古屋の若手経営者が集まる例会『知識を知恵にするための雑相(雑談と相談)』というお題で先日講演をさせていただきました。その際に序盤でアイスブレイクの目的で‘お互いを褒め合う’エクササイズをやってもらいました。月に1回の頻度で顔を合わせている者同士が面と向かって褒めることはしないせいか、最初は恥じらいながらでしたが、何人かに褒め言葉をもらううちにテンションが上がり、とても温かい場の空気のまま講演を終えることができました。
私たちは自分には甘いのに他人には厳しくイヤな所に目が行きがちですが、相手を褒めようというスイッチに切り替えることで相手のいいところを探すようになり、相手と良好な関係を築きやすくなる他、いろんな効果があります。
褒めるは承認の行為の1つ
承認は一言で言えば相手を認める行為のことです。そして承認は大きく3つに分類できます。
<3つの承認>
1)結果承認…何かを達成したり良い行いをしたときの褒める行為
2)成長承認…なんらかの成長や変化があったときにその違いに気づき伝える行為
3)存在承認…ただ相手の存在を認める行為
仕事に限らずですが、普段の生活の中で褒める機会というものはなかなかありません。よって、コーチングやコミュニケーションの研修では存在承認、例えば自分の方から先に挨拶したり労いや感謝の言葉をかけたりすることを勧めたりします。が、下記に挙げる事例から褒めようと思えば案外容易に褒めることができたり、その上いい効果が生まれることに私は気づかされました。
心理的安全性が高まる
冒頭に明記した通り、相手から褒めてもらうと単純にうれしいものですし、自分も相手のいいところを伝えようとなります。これはトム・ラス著の『心のなかの幸福のバケツ』という本にも書かれています。相手にその人が喜ぶようなポジティブな言葉をかけると相手の心の中のバケツの水は増えると同時に、自分の心の中のバケツの水も同じ分だけ増えるという理論なのですが、そういった関係性ができ、職場全体が相手を認め合えるようになると心理的安全性や自己肯定感が高まり、仕事や仲間に対して積極的、主体的に動けるようになりますし、コミュニケーションがスムーズにとれ働きやすさもグンと上がります。
パフォーマンス向上
国内の航空会社の1つであるスカイマークが5年連続定時運航率第1位、さらに2022年度顧客満足第1位になりました。JALやANAをおさえて1位になった理由は、お客様からの搭乗後アンケートなどを数値分析して現業部門にフィードバックするサービス改善の仕組みを構築している点もありますが、褒める研修を導入して人材育成をしている点も影響していると考えられます。
「褒めちぎる教習所」として有名になった三重県南部自動車学校は、生徒からの評判が広がり全国から合宿免許に大勢集まるようになりました。おそらく最初は少子化時代の生徒集めの方法として導入したと思われますが、何年か経ち褒めちぎる効果が思わぬところで数字に表れました。それは南部自動車学校卒業者の普通車事故率です。2013年では約1.6%だったのが、2015年にはその半分の約0.8%に下がりました。ちょっとしたミスが大きな事故につながる自動車運転となれば厳しく伝えた方がよさそうですが、ミスしたときにこそ叱らず「いい経験したね」とやさしい言葉(当校では浮き輪言葉)をかけ、その後「次はどうしたらいい?」と生徒に考えさせ、もう二度と同じミスはしないという学習意識を高めています。
子どもの頃誰にでも一度や二度はあった親に「部屋の片づけができていない!」と叱られた経験。そうすると「今やろうと思っていたのに…」とか「だって○○○のせいでできなかったんだもん」と他責にして反省もしないし今度は注意しようという意識も芽生えません。これは大人になってもそういった自己防衛の習性が少なからずあるのではないでしょうか。
褒め上司になるコツ
1)部下を肯定的に捉える
例えば、部下一人一人に1日1回褒めることを意識して部下に関わったり観察していれば、何か褒めポイントが見つかるはずです。私が会社員時代に伸び伸びと仕事をさせてくれた上司はまさに褒め上手でした。「田中くん、がんばってるね~」「いいね~、参考にさせてもらうわ~」と未経験の仕事で自信なさげに仕事をしていた私を褒めて育ててくれました。あまりにも褒め過ぎなので「また心にもないことを…」と笑って返すこともありましたが、悪い気はしませんでした。むしろ難しいことにトライし重要なミッションを成し遂げることができ、その上司の下にいた2年間の経験が私の成功体験となり最も成長できた時期だったと今もそう感じています。
2)褒め言葉の合いの手を入れる
「すごい」「さすが」「すばらしい」の3Sを会話の合いの手に入れてみましょう。私はコーチングのときに「いいですね~」をよく使います。今となっては口癖になっているくらいです。とりあえずと言ってはなんですが、まず「いいですね~」と相手の意見を受け止める姿勢が大事のような気がします。
3)管理ではなく観察する
上司は数字などの結果に囚われ、部下のちょっとした変化や成長ぶりに気づかないことが多いものです。結果を褒める機会は少ないですが、いい変化があり次第それを言葉で伝える機会は10倍以上あるはずです。変化に気づくには何らかの形で部下と関わっていないとできません。また変化を褒めてもらえると言われた部下本人は「このやり方で大丈夫なんだ」と自信もって仕事に励むことができます。
あなたはどんな言葉をかけてもらえるともっと頑張れますか?
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