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人に寄り添う防災から学ぶチームの在り方

人に寄り添う防災から学ぶチームの在り方

2022/03/16


東日本大震災から11年が経ちました。3/11に私が主宰している『ワークワク読書会』があり、そのときに『人に寄り添う防災』を取り上げましたが、共感したり寄り添うコミュニケーションは防災に限らないことであり、組織で仕事をするチームのリーダーやメンバーの方々に、チームの在り方を考えたりマインドセットの一助となれば幸いです。

メダカの群れにはリーダーがいない!

「メダカの学校は川の中~♪」という童謡がありますが、メダカは群れをつくって泳ぐ生物です。基礎生物学研究所(神経生理学研究室)の中易知大研究員と渡辺英治准教授が行ったバーチャルリアリティ技術を活用した行動解析実験により、メダカは動きによって仲間を引き寄せていることが明らかになりました。メダカが仲間を引き寄せ群れをつくり団体行動をとる理由は、天敵への防御・生殖活動の効率化・社会的役割分担などのメリットがあり、これはメダカに限らず人を含む多くの生物にも当てはまることです。

ところが人とメダカには大きな違いがあります。リーダーがいるかいないかです。人は団体(チーム、グループ問わず)ができればリーダーを決めます。小学校のときに掃除の班がありましたが、そんな小さなグループでも班長を決めたものです。メダカの群れにはリーダーが不在です。なぜなら危険を一番早く察知した仲間の動きに、他のみんながすぐ連動して身を守る方がリスク回避できるからです。もしリーダーがいてそのリーダーが間違った判断や動きをした場合、全滅する危険があります。

東日本大震災で生死を分けたもの

知識、データ、マニュアルでは人は動けない

人は感情の生き物です。いくら正論、理屈を並べても本人の気持ちや感情が動かなければ、頭では「こうすべき」と理解していても人は動くことができませんん。尚且つ、人の脳は省エネであり無意識な行動を好むようにできています。行動を変えることはそれなりの意思が必要であり、「自宅から避難する」という行動は勇気のいる行為です。

また、地震や津波の経験をしたことがある人は「あの時、波の高さは大したことがなかったから次も大丈夫だろう」と楽観的に捉えてしまう面があります。それが精神的にラクにするという利点もありますが、前例に捉われ過ぎてしまうと判断を見誤ってしまいます。

真っ先に行動を起こした人の存在

東日本大震災からちょうど10年が経った2021年3月にNHKで震災当時の検証を行う特別番組が放送されました。生死をわけたのは何だったのかを生存者のインタビューや被災地の避難行動をデータ解析した結果、1つの答えが出ました。

助かった人たちの多くが、地震後に自分の周りで「大きな津波が来るから、早く山へ上がろう」と声をかけながら真っ先に逃げる行動をとった人がいたということです。危険を察知しここにいては危ないと、周囲に知らせて動くのはまさにリーダー不在のメダカの群れさながらです。データ解析では各地区にそういった人が点在していたことがわかりました。

人は人として避難ができない

人が行動するのは他人から指示されるのではなく、自分自身がそうしたいから行動を起こすわけで、避難しない人でさえも避難しない理由があり「ここに留まりたい」とう思いがあります。

先述した『人に寄り添う防災』にはその事例が2つ紹介されています。

<事例>
・隣に住むいつもよく挨拶するおばあさんを置いて逃げることはできない
・自分の子と離れ離れになり、最後の最後まで逃げずに探し回っていた

このようなことはマニュアル化して対応できる類のものではありません。とは言え、どんな事情であれ誰一人命を落とさないようにただ「逃げよう」ではなく、別のアプローチが必要となります。

非常、通常を問わないチームの在り方

主客未分

非常時に「逃げよう」と人を避難させるのも、通常時に「がんばって働こう」と人を鼓舞させるのも、人を動かす、その気にさせるという点で同じことです。また、防災に関してで言えば、専門家が限界だと感じていた行政主体の防災。行政が住民に「避難していただく」という文言がそもそもおかしく、いつの間にか私たち住民は行政任せで受け身の防災(例:お膳立てされた避難訓練)しかしてこなかったように思います。

私が代表を務めている某団体の例ですが、その会員の方から「有料化にしたんだから、もっと価値のあることをやっていかないと」という意見をもらいました。こちらとしては非営利であり、余剰金はほとんど出ず、ボランティア活動のようなものです。代表をやっていると表には見えない雑用があり、私としては精いっぱいやっていたので、その意見に違和感を覚え、でもその違和感は何なのかわからず、一旦持ち帰りました。

そして行政と住民、主宰と会員。主体と客体の同じ構図になっていることに気づきました。理想的な関係性は「主客未分」、両者が力を合わせて目的を果たせるよう協力関係になることであり、どちらも主体的に貢献するのが最善策なのではないでしょうか。

「自分の命は自分で守る」という防災の基本前提のように、仕事も「自分のキャリアは自分で築き上げていく」という気概がなければ、どんな研修や経験を積んだとしても身に付かないものです。

心に寄り添うコミュニケーション

主体的な避難を促すためにはどんなコミュニケーションが必要でしょうか?

「なぜ逃げなきゃいけないのか?」⇒「津波や倒壊の恐れがあるから」では頭で理解レベルに留まり、心と行動に結びつきません。

「なぜ逃げなきゃいけないのか?」⇒「あなたに万が一のことがあったら、悲しいし辛い思いをする人がいるから」と自分の命を大切だと思ってくれる誰かがいるということに気づいてもらうアプローチがあります。気づきを促す、コーチングのコミュニケーションが防災でも活用できます。

さらに理想的なのが、通常時から関係を築き、「私はあなたが必要だから一緒に逃げよう」「あなたの避難がみんなの命を救う」という言葉で相手が逃げる行動を選択できるだけの仲になっていることです。職場でただ同じ会社に勤める者同士という関係性ではなく、お互いを大切に思える仲間というつながりが普段からあることです。

チームの目的を「have to」から「want to」へ

『人に寄り添う防災』の中で、日本一の津波の町(高知県の黒潮町)の取り組みが紹介されています。

もしあなたが住んでいる町が「日本で最大規模の地震発生時に一番津波が高くなる地域」と言われたら、どんな気持ちになりますか?いつ起こるかわからない地震に対して不安な毎日を過ごすかもしれないし、こんな町には住めないと思い転居を考えるかもしれないでしょう。

でも専門家はネガティブな見方ではなくポジティブにとらえ直し「地元の食材で日本一の防災食をつくる」ことに取り組みました。その結果、町民は町を誇りに思えるようになり、新たな雇用も生まれ、町が元気になりました。

「日本一の津波に備えなければならない」ではなく「日本一の防災食をつくりたい」が防災に対する意識が180度変わりました。

あなたのチームだからこそやりたいことは何ですか?



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