任意健診でも受診が肝心!がん検診の受診目安
2020/07/03
健康経営に取り組むなら、まずは労働者の健康状態の把握からということで定期健康診断の受診率100%を目指しましょうと前回お伝えしました。
今回は健康診断受診後の対応をどうするかについてです。
健康診断を実施・受診しただけでは健康確保も生産性向上も実現されません。健康診断の結果に基づいて再検査・精密検査、治療を受ける、あるいは生活習慣の改善や就業条件・環境の改善などに取り組めるように受診勧奨などの支援が求められます。
- ○ 受診勧奨の重要性
- ・受診勧奨の主な支援
- ・任意健診の受診を促す
- ○ 職域におけるがん検診に関するマニュアルに示された検査項目・対象年齢・受診間隔の目安
- ・胃がん検診
- ・子宮頸がん検診
- ・肺がん検診
- ・乳がん検診
- ・大腸がん検診
受診勧奨の重要性
健康診断を受けたら、結果に基づいて再検査や精密検査、治療を受けるなり、生活習慣や就業条件・環境を改善するなど適切に対処することが必要です。
しかし、労働者健康状況調査によれば定期健康診断を受けて「所見ありと通知された」労働者は36.2%、そのうち「要再検査または要治療の指摘があった」労働者は75%、「再検査または治療を受けた」労働者は48.3%という結果でした。
つまり、必要性を指摘されても実際に再検査や治療を受ける人は半数に満たないことがわかります。
その要因の1つが、定期健診後の再検査・精密検査・治療については会社による実施や労働者の受診を明確な義務とまでは規定されていないことです。
労働安全衛生法上は事業者に必要な労働者に対して医師又は保健師による保健指導を行う努力義務と、労働者に健康心だ結果および保健指導を利用して、健康を保持する努力義務を定めています。
そのため会社による再検査等に係る受診勧奨や費用補助、受診機会といった支援がない場合があり、それらすべてを労働者個人が行うことが障壁となっていると考えられます。
受診勧奨の主な支援
健康経営として従業員の健康に投資するという考え方に基づけば、法令上の会社の義務ではなくても、労使双方の協力で健康保持・増進を妨げる障壁をできるだけ取り除くことが重要です。
会社の実情に合わせてできることから取り組むことと、個人情報の取扱いも含めて安全衛生委員会などで決議し、ルール・制度化することが望まれます。
<再検査、精密検査、治療の受診勧奨>
①必要な労働者には、再検査等の受診を勧奨する
②再検査等に必要な時間の確保に協力する(労働時間として認定する等)
③再検査等に必要な費用を補助する
④再検査等の結果をもとに自己健康管理を助けるツールを提供する
⑤再検査等の結果を産業保健スタッフが把握し、安全・健康配慮義務の実行や
自己健康管理を助ける
これらの取り組みは健康保険組合が行う特定健康診査・特定保健指導やその他保健事業と目的や手段が重複する部分があるため、連携・協力し効率的かつ労働者に混乱を招かないように進めましょう。
任意健診の受診を促す
任意健診(がん検診等)も法定上の実施・受診の義務はありません。
ですが、健康経営の観点からすれば、効果的な投資対象です。
特にがんは、生涯のうちに日本人の2人に1人が罹患し、そのうち約30%は就労世代であると推計されています。
多くのがんが早期発見・早期治療によって完治が可能な時代になったこともあり、がん検診によってがんを早期発見できれば、がんによって生じる従業員の死亡や退職、休業やプレゼンティーイズム、本人や周囲の不安や心配などを最小限にすることが可能です。
がん検診を実施あるいは促進する場合に注意するべきことがあります。
それはがん検診と言っても、最近では様々な検査が提供されています。
効果についての科学的な根拠があり、検査による不利益が大きすぎない検査を選択し、適当な頻度で行うべきです。
職域におけるがん検診に関するマニュアルに示された検査項目・対象年齢・受診間隔の目安
胃がん検診
1)検査項目
問診に加え、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれかとする。胃部エックス線検査および胃内視鏡検査を併せて提供しても差し支えないが、この場合、受診者は、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれかを選択するものとする。
2)対象年齢
50歳以上の者。ただし、胃部エックス亘県債については、当分の間、40歳以上の者を対象としても差し支えない。
3)受診間隔
原則として、2年に1回。胃部エックス線検査を年1回実施しても差し支えない。
子宮頸がん検診
1)検査項目
問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診とし、必要に応じて、コルポスコープ検査を行う。
2)対象年齢
20歳以上の女性。
3)受診間隔
原則として、2年に1回。
肺がん検診
1)検査項目
質問、胸部エックス線検査および喀痰細胞診とする。喀痰細胞診は、質問の結果、原則として50歳以上で喫煙指数(1日本数×年数)が600以上であることが判明した者に対して行う。
2)対象年齢
40歳以上の者。
3)受診間隔
原則として、1年に1回。
乳がん検診
1)検査項目
問診および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)とする。なお、視診および触診は推奨しないが、仮に実施する場合は、乳房エックス線検査と併せて実施すること。
2)対象年齢
40歳以上の女性。
3)受診間隔
原則として、2年に1回。
大腸がん検診
1)検査項目
問診および便潜血検査とする。
2)対象年齢
40歳以上の者。
3)受診間隔
原則として、1年に1回。
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