健康経営で『定期健康診断受診率100%』を目指す
2020/06/19
健康宣言をしたら、健康管理と健康づくりに取り組むわけですが、まずは労働者の健康を確保するための基本的な取り組みである健康診断の実施を徹底しましょう。
労働安全衛生法では事業者には健康診断の実施義務が、労働者には受診義務が課されていますので目標は受診率100%です。
- ○ 健康診断の重要性とは
- ・法令に基づく職域の健康診断の種類
- ・定期健康診断の項目
- ・法令に基づく健康診断から保健指導の流れ
- ○ 健康診断の実施と受診の現状と受診率向上のポイント
- ・健康診断の実施率・受診率
- ・受診の障壁と解決策
- ・中小企業の健診機関選びのポイント
- ・健康診断受診率向上の取り組み事例
健康診断の重要性とは
一般健康診断や有害業務に対する特殊健康診断は、労働者の健康を確保するための方策として労働安全衛生法やじん肺法の中で、事業者にそれらの実施義務が課せられています。
定期健康診断は全ての労働者が対象であり、年1回以上実施する必要があります。
ただし、健康診断を実施・受診するだけでは健康増進、生産性向上につながりませんので、診断結果を把握して自己健康管理に努めたり、業種・職種による全体的な傾向(例:喫煙率が高い、メタボ率が高いなど)が見受けられるようであれば、組織的に労働者の健康管理・増進の取り組みを支援することが必要です。
健康経営では、従業員の健康課題の把握のために重要な事項として考えられ、健康経営優良企業認定における評価項目の中でも、やむを得ない理由がある者を除き健康診断受診率100%、もしくは同者を除き健康診断受診率95%以上となっています。
法令に基づく職域の健康診断の種類
◆一般健康診断
①雇入れ時健康診断
②定期健康診断
③特定業務従事者の健康診断
④海外派遣労働者の健康診断
⑤給食従業員の検便
◆特殊健康診断
・各種有機溶剤に関する特殊健康診断
・特定化学物質に関する特殊健康診断
・電離放射線に関する特殊健康診断
・粉じんに関連する特殊健康診断 など
定期健康診断の項目
①既往歴・業務歴の調査
②自覚症状および他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲(メタボ診断)、視力および聴力の検査
④胸部X線検査および喀痰検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(血色素量、赤血球数)
⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
⑨血糖検査(空腹時血糖またはヘモグロビンA1c)
⑩尿検査(尿糖、尿蛋白)
⑪心電図検査
法令に基づく健康診断から保健指導の流れ
健康診断を実施したら、本人だけでなく会社も結果を把握し、異常があった労働者が安全・健康に働くことができるように産業医に必要な就業上の措置の意見を聴取・実行し(適正配置)、また当該労働者への保健指導を提供するなどによって労働者の健康管理・増進の取り組みを支援することが必要です。
健康診断の実施と受診の現状と受診率向上のポイント
健康診断の実施率・受診率
厚生労働省が2012年に実施した労働者健康状況調査によると、事業場規模が小さいほど実施率と受診率が低く、29人以下の事業場は健診実施率89.4%に対し受診率は77%でした。500人以上の中・大企業になると実施率は100%にも拘らず受診率は87.8%であり、受診率100%は案外難しいようです。
受診の障壁と解決策
*健康診断を実施する費用がない(費用が高額である)
↓
【解決策】
①労働安全衛生に関する各種助成を利用する
▶厚生労働省のキャリアアップ助成金健康診断制度コース
▶あんしん財団の人間ドック・定期健康診断補助金制度
▶労働者健康安全機構の産業保健関係助成金制度
▶そのほか、地方自治体などによる定期健康診断補助金制度 など
②協会けんぽなどの健康保険組合と連携協力する(補助金など)
*健康診断を実施する日程や時間がとれない(とりにくい)
↓
【解決策】
・事業の年間計画を考慮して、事業の繁忙期や他のイベントを避けて健診日程を計画する
・総務だけでなく現場の管理監督者が日程を把握し、交代で受診できるように職場や個人単位での業務調整を行う
・労働者個人が任意の日程で受診する場合は、受け忘れを防ぐために受診勧奨の連絡を会社側が行う
*健診を実施する適当な健診機関や医療機関がない(見つからない)
↓
【解決策】
・全国労働衛生団体連合会や日本人間ドック学会、日本総合健診医学会などが認定する
優良機関のリストや、地域産業保健センターへの相談を活用する
・会社に近いとか料金が安いといった視点で選ぶのではなく、日程や場所の調整、
料金や支払方法など事務的な協力が得られ、検査の制度や安全性を管理している
優良な機関を選ぶ
中小企業の健診機関選びのポイント
中小企業では社内に産業医や保健師がいない場合があるため、以下の対応が委託できる健診機関を選びましょう。
①再検査・精密検査や治療が受けられる
②保健指導を受けられる
③医師から意見を聴取できる(就業の可否判定や就業上の措置の意見)
健康診断受診率向上の取り組み事例
【利便性の向上】
・事業の繁閑や他の会社行事との日程調整
・交代勤務者のシフトの変わり目を含めた日程設定
・男女別の時間設定
・人間ドック結果の利用についての健康保険組合との調整
【健康診断の意義や必要性についての啓発】
・事業者からの情報発信や社内掲示
・衛生委員会での産業医講話
・管理職研修や従業員向け研修の利用
【その他】
・未受診者への管理監督者や人事担当者からの受診勧告
・未受診者のための施設健診などの利用機会の設定
・出向中の労働者の健康診断の取り決め
・健康診断前1か月の生活改善キャンペーン
※弊社は健康管理士であり健康経営エキスパートアドバイザーによる健康意識、健診受診促進につながる
従業員向けの社内健康セミナーを提供していますので、気軽にお問合せ下さい。
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