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新型コロナウイルス対策のBCP作成のポイント

新型コロナウイルス対策のBCP作成のポイント

2020/05/08


新型コロナウイルスの緊急事態宣言が当初の5月6日から5月31日まで延長することが5月4日に決定されました。

感染拡大防止のため、緊急事態宣言以前から小売業や飲食業等の営業自粛、そして緊急事態措置としての休業要請で数か月にわたっての休業。これによって店舗の閉店や廃業を余儀なくされた経営者がこの先さらに増えるだろうと懸念されています。

『感染症予防対策』も健康経営の取り組みの1つであります。従業員などのステークホルダーの感染防止に努めるのはもちろんですが、さらに『BCP』Business Continuity Plan 事業継続計画も普段から用意しておく必要があります。

大規模地震等による災害のBCPとの違いを理解する

日本は阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模地震による緊急事態が少なくないことから、大企業では事業継続計画(BCP)という形で備えている会社が多いかと思います。

しかし、今回の新型コロナウイルスのような感染症による全国の経済・消費活動がストップするといった事態は大多数の人が想定していなかったことであり、従来のBCPがそのまま使えないこともわかってきました。

新型インフルエンザ等感染症のBCPにおいて検討していくべき事項は、
・安全配慮義務(感染予防策)
・事業継続(取締役等の弊害注意義務)
・社会的責任(社会機能の維持)
の3つです。

そして、予め「情報収集体制」と「対応ルール(プロセス)」を構築の上、関係者に周知していることが求められます。また、国全体の感染予防や社会の機能維持への協力する観点から政府が考える「国全体の感染予防策」や「社会機能維持策」に留意することが必要です。

災害地震を想定したBCPとの共通点と相違点

多くの企業が策定しているBCPは、大規模地震等の災害地震を想定して策定し、「組織全体の操業度が著しく低下し、復旧まで時間がかかる局面」を前提に、可能な限り早急に本格復旧ができるよう、
①防災・減災(地震が発生する前の事前対策)
②緊急時対応(地震発生直後に実施する指揮命令系統の確立・人命安全確保・現状分析)
③事業継続対応(②の後に実施する重要な業務に経営資源を集中させた対応)
以上の事項を整理する計画になっています。

一方、新型インフルエンザ等感染症のBCPにおいては、②③は共通しているものの、①は感染予防策となります。

<新型インフルエンザ等感染症BCPの心得>
・①~③すべての活動を、長期間に渡って実施することが必要
・①感染予防策の出来により、操業度が大きく変化
・②緊急時対応は不確実性が高い状況下で情報を取集し、事態の深刻度に応じて体制・実施事項等を整理することが重要
・③事業継続対応は「何から事業をストップするか」の整理。感染リスクや社会的責任への配慮が必要

新型インフルエンザ等感染症は、大規模地震等の自然災害と異なり、世界的に長期間感染者が発生し続ける一方、地震のように施設や設備等の物的被害まで発生しません。感染症は海外で発生した場合には国内への感染拡大がある程度予測できる一方、地震は予測困難で突発的といった事業継続上の違いがあります。

感染症BCPにおいて検討しておくべき事項

感染症BCPを具体的に検討するには、「やるべきこと」を整理し、「誰が」「何を」「どのようなタイミングで」実施していくか、明確にして計画書に落とし込んでおくことが不可欠です。「やるべきこと」の検討に際しては、①感染予防策、②事業継続、③社会的責任 を考慮することが肝要です。

1.安全配慮義務(感染予防策)
感染予防策としての安全配慮義務とは、過去の判例によると「組織は当該相手方の生命・身体・財産等の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない」とされています。また、当然に会社側が従業員に対して安全配慮義務を負うことも労働契約法(第5条)において明示されています。

2.事業継続(取締役等の善管注意義務)
善管注意義務とは、ある業務を委任された者がその分野の「職業人・専門家として一般に期待される注意義務」を意味します。つまり、企業の取締役等には「経営のプロ」として要求される水準の注意義務が課されています。経営者・取締役は会社から委任を受けて、委任の本旨(ここでは利益確保=事業継続)に従い善良なる注意をもって委任事務を処理する義務を負うと法で定められています。善管注意義務に則る行動として、正しい事実認識をすることと、意思決定のプロセスが合理的であることが過去の判例から求められています。

3.社会的責任(社会機能の維持)
国全体の感染予防や社会の機能維持へ協力する観点から政府が考える「国全体の感染予防策」や「社会機能維持策」に留意することが必要です。政府から行動計画、ガイドライン、特別措置法(特措法)が示されたのを受け、対応していくことになりますが、行き当たりばったりにならないよう、情報収集体制と対応ルールを構築し、関係者に注意していることが求められます。また特措法上の役割分担では、登録事業者と一般事業者が明確に分けられており、自社がどちらに該当するかを明確にした上で、国全体の感染予防や社会の機能維持へ協力する観点から政府が考える「国全体の予防策」や「社会機能維持策」に留意することが望まれます。

感染症BCP策定の5つのポイント

感染症が流行した場合、従業員が罹患するおそれがあり、勤務できる従業員など人的資源が制限される非日常となります。そのような中で、日常の業務遂行体制どおり実施していくことは困難となります。非日常の業務遂行体制を想定して現実的な実行可能性を考慮しながら、欠くことのできない3つの視点(①感染予防策、②事業継続、③社会的責任)をバランスよく検討することが大事です。

1.正確な情報を収集する仕組みづくり
感染症の対策方針は、その時々の感染状況、社会的影響、事業への影響を総合的に勘案して決めていくことが求められます。管理部門は厚生労働省や自治体が公表する情報を正確に把握し、しかるべき判断者に報告。現業各部門では自社従業員に感染者が発生した場合には速やかに報告する、といった報告の仕組みにより、正確な情報がいち早く判断者のもとに集約される体制づくりが重要です。

2.政府行動計画等の発生段階に合わせた段階的な対策を整理
企業等の対策方針は政府の対策に左右されるため、政府の発生段階を取り入れた段階(レベル、ステージ等)を設定し、段階ごとに対策を整理することを勧めます。

<政府行動計画の発生段階を取り入れた段階例>
未発生期→平常時
海外発生期→レベルⅠ
国内発生早期→レベルⅡ
国内感染期→レベルⅢ
小康期→緊急体制の解除

3.業務の優先順位(最低限継続する業務)を整理
業務の優先順位は5つに分類して考えましょう。

<業務の分類と定義、具体例>
①重要継続業務A・・・優先事業に関連する業務(資金・給与支払業務、システムの稼働状況管理等)
②重要継続業務B・・・各部門において重要継続業務A以外で継続が必要な業務(勤務管理、経費処理等)
③通常業務・・・出社人員を踏まえ、継続・縮小・休止する業務(①②及び休止業務以外の業務)
④休止業務・・・多人数が1か所に集合する際、感染予防の観点から休止することが望ましい業務(集合研修、イベント等)
⑤感染症予防対応での追加業務・・・通常時には発生しない感染予防や感染者対応等の業務(従業員の体調チェック、取引先への協力依頼等)

4.人的資源に対する対策を手厚く整理
感染症のリスクは主に従業員等の人的資源です。そのため、対策も人的資源に対する対策が中心となります。マスクの着用、手袋の着用、手洗いの励行、職場の清掃・消毒といった飛沫感染、接触感染を防ぐ感染予防策の徹底をはじめ、従業員が感染する機会を低減する、欠勤者が出た場合に備えた代替要員確保など、多面的な防止対策が望まれます。

<企業における感染拡大防止策の例>
①従業員が感染する機会の減少・・・在宅勤務、時差出勤、出張や会議の中止もしくはオンライン
②職場での感染防止・・・出勤時の検温や問診、職場や食堂等の配置換え、フレックス制度
③代替要員の確保・・・複数班による交代勤務制、経営トップの交代勤務、家族の状況による欠勤可能性増大の検討

5.未発生期に実施する教育や訓練
BCPは策定するだけでは実効性があるといえず、危機発生時において迅速に行動できるよう予め従業員等が理解していることが望まれます。未発生期の間に、定期的に従業員教育や訓練を行うことも肝要です。

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