中小企業の健康経営顕彰制度の活用法
2020/03/06
コミュニケーションの活性化、生産性向上、採用、定着率アップなどの課題をお持ちの企業さまに知ってほしい健康経営のコラム。ビジネスコース兼健康経営エキスパートアドバイザーが健康経営に関する知識・情報や社員の健康づくりに関するネタをご紹介。第3回は中小企業向けに健康経営顕彰制度の活用法をシェアします。
顕彰制度は健康づくりの見える化ツール
健康経営の必要性がわかり、いざ健康経営に取り組もうとしても何をすればいいのかわからないものです。なので顕彰制度を知って会社で導入していただきたい。
1つは上場企業対象になりますが健康経営と名が付いた最初の制度が2015年3月からスタートした『健康経営銘柄』。経済産業省と東京証券取引所が長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に対し、健康経営の取り組みに優れた上場企業を魅力ある企業として選定・紹介するものです。
非上場企業や中小企業向けには2016年度から始まった協会けんぽ等の保険者が健康づくりに取り組む事業所をサポートする『健康宣言事業』、日本健康会議による『健康経営優良法人認定制度』があります。この2つは中小企業などもエントリーできるため、この2つについてこれからご説明します。
協会けんぽの『健康宣言事業』が最初の一歩
中小企業が加入している保険者である全国健康保険協会(通称 協会けんぽ)。全国の協会支部では、健康宣言することを推奨しています。
<健康宣言の有効性>
①経営者が先頭に立って健康経営を進めていくという方針を打ち出すことで、
社員の健康に対する意識や健康づくりの取り組みへの参加度合いが上がる
②健康宣言を社内外に公表することで、社員を大切にしている会社であることをPRできる
③健康宣言をして会社全体が健康課題に取り組むことで1つになれる
協会けんぽ各支部のサイトから『健康宣言書』という申請書をダウンロードできます。
記載の取組項目から選んでFAXで送信するだけでエントリーできます。
<取組必須項目>2つ必須
☑健診を全社員受診
☑法令を遵守
<取組選択項目>3つ以上選択
①奥様にも健診プロジェクト
②受診勧奨の取り組み
③ストレスチェックの実施
④健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)
⑤管理職及び一般社員それぞれに対する教育機会の設定
⑥適切な働き方の実現
⑦コミュニケーションの促進
⑧病気の治療と仕事の両立支援
⑨保健指導の実施
⑩食生活の改善
⑪運動機会の促進
⑫受動喫煙対策(禁煙又は分煙)
⑬社員の感染症予防
⑭長時間労働への対策
⑮メンタルヘルス不調者への対応
次のステップとなる『健康経営優良法人認定制度』
健康経営優良法人認定制度は従業員人数によって大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれています。
ちなみに2019年の中小規模法人部門の認定企業数は2,503法人です。
健康経営優良法人認定制度は協会けんぽの健康宣言事業の取組項目に準じたものになっていますが、認定要件が異なるため前述の健康宣言の際に予めこちらを踏まえて取組項目を考えられるといいでしょう。
<認定要件>
1)経営理念・・・健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健康受診/必須
2)組織体制・・・健康づくり担当者の設置/必須
3)従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
①定期健診受診率(実質100%)、②受診勧奨の取り組み、
③ストレスチェックの実施、④健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)
のうち2項目以上
4)健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲージメント
⑤管理職又は一般社員に対する教育機会の設定
⑥適切な働き方実現に向けた取り組み
⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み
のうち少なくとも1項目
5)従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策
⑧保健指導の実施又は特定保健指導実施機会の提供
⑨食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
⑪受動喫煙対策
⑫従業員の感染症予防に向けた取り組み
⑬長時間労働者への対応に関する取り組み
⑭不調者への対応に関する取り組み
のうち3項目以上
6)評価・改善・・・(保険者の求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供/必須
7)法令遵守・リスクマネジメント
・・・従業員の健康管理に関連する法令について重大な違反をしていないこと/必須
自社の取組状況を確認し、認定基準に該当する具体的な取組を申請書に記載、保険者を経由して申請し、審査が通れば日本健康会議において認定されます。そして注意して頂ききたいのは、申請手続きや認定基準が毎年変更されているため、経済産業省のホームページをその都度確認される方がいいでしょう。
健康経営推進の組織づくりのポイント
経営者が健康経営に取り組むと決めた時点で、社内で健康経営を推進する担当部署や担当者を決めましょう。経営者が宣言するだけでは行動変容につながりません。大企業の例になりますが、全日空グループではCEOのようにCWO(Cheef Wellness Officer)最高健康責任者の役職を設け、優先順位を上げて全社的に取り組んでいます。また、健康経営優良法人認定基準の必須要件として『健康づくり担当者の設置』があります。
<健康経営推進の組織づくりのポイント>
①健康経営を推進する担当部署や担当者を決める
②担当者は専門資格を持つ従業員を配置したり、担当者に対する研修などの実施も検討する
③事業場が複数ある場合は、事業場ごとに担当者を決める
④産業医や保険師等の外部の人材活用も検討する
健康経営・健康づくりは業務とは別のものであり、また全社員共通のテーマであることから部門横断的なプロジェクトもしくは委員会といった分科会活動として定期的に取り組むことをおすすめします。プロセスを通じて自然と社員の一体感が生まれることが、心身の健康や働きやすい風土に一番大切なことだと思います。
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