コーチング|自分が大切にしていることに気づけた対話
2026/10/21
「あなたが仕事で大切にしていることは何ですか?」
もし突然こう聞かれたら、あなたは即答できますか?
即答できる人もいるでしょうし、即答できない人もいるでしょう。
ただどちらの人にも言えるのは、普段それを意識して仕事をしていて即答できた人でも即答はできなてもキーワードだけ浮かんだ人でも、その答えは表面的なものであり心の底からそう思えるかは別だということです。
私は最近それに気づけた学びの機会がありました。
コーチングの学びの場
私はおよそ20年前に自分が学んだ国内のコーチングのパイオニア企業である(株)コーチ・エイ(当時コーチトゥエンティワン)が提供しているコーチのブラッシュアップのオンライン勉強会に不定期で学んでいます。私がプロコーチになろうと起業前から学んでいたその当時は1クラス最大20名の生徒に対してファシリテーターでありコーチが1名。電話で60分間の授業でした。電話なので一度に話せるのは2名1組。でも今は時代が変わりってオンラインで授業ができるし、ブレイクアウトルームで自動的にシャッフルしてグループ分けができ、同時に全グループがセッションできます。オフラインの勉強会よりも毎回いろんなグループ、毎回違う人とセッションできるのでコミュニケーションをセッションで学ぶにはかえってオンラインの方がいいかもしれません。
最近受けたコーチングの勉強会は100人規模で2時間。年齢は40代から60代と部下を持っている年齢層。私のようなフリーでプロコーチをしている人もいますが、会社の中でコーチングを取り入れて日常的に1on1を実践している人の方が多い感じでした。
誰もが自分の中に持っている哲学とは
この日の学びの狙いは“コーチング哲学を自分の言葉で語れるようにする”とありました。“哲学”という言葉をファシリテーターから聞いて、「今日は難しい内容だ
なあ」と自分のテンションが少し下がってしまいました。なぜなら自分には哲学がないと思っていたからです。でもそのファシリテーターが言っていた哲学とは、正しい理論ではなく、経験を通じて形成してきた私が繰り返し大切にしている考え方 と定義づけをしてくれました。なるほど、それなら私に中にも何かありそうだと思えましたし、この学びの場でそれを見つけられるなら、どのような対話で見つけられるのかも興味深く、モチベーションが上がりだしました。
人は出来事を後から意味づけて理解するらしく、体験→意味づけ→信念→哲学 という流れがあり、その中の意味づけや信念はただあることを体験したら自動的に明らかになるというものではないし、自問自答して考えるにも限界があり、方法としてはコーチのように自分の話を聴いてくれる人との対話から探究していった暁に自分の中の哲学を見つけることができるということがあらためてわかりました。
体験の振り返り
「コーチとして私が大切にしていることは何か?」というファシリテーターから序盤に投げられた問いを一旦脇に置き、幾つかの問いについていろんな人とセッションを行い、徐々に芯の部分へと対話のライトが照らされていきました。
コーチとして忘れられない場面
最後のブレイクアウトルームでついに今までのコーチとしての体験を振り返る問いが投げられました。約20年間の記憶を思い返してみたところ私が思い浮かんだことは、初めてフルマラソンを走る人の伴走した体験でした。相手はクライアントだったりそうでなかったりと過去10人近くゴールへ導いた経験があり、最も直近の体験は昨年でした。
その体験の中でも最も忘れられない体験は東京マラソンで20年近く前のもので初めての経験でした。私が主宰していたマラソンクラブの若い女性Aさんで、元々運動が得意というタイプではなく、それなりに練習してきたもののハーフマラソンすら走ったことがないよくあるマラソン初心者でした。Aさんの感想目標は歩かずに完走するというものでした。
市民ランナーが出場するマラソン大会はゴールの制限時間だけでなくコースに途中何箇所かの関門があり、何時何分までに何キロ地点を通過しないといけないというものがあります。私は当時フルマラソンを走った経験はたった3回。しかもその頃のベストタイムは4時間半。市民ランナーとしてはまだまだ経験と能力不足の我が身でした。でも私がクラブを立ち上げたのは、私が最初の最後だと思って走ったホノルルマラソンで、10何人引き連れて伴走している人を見て、「まさにコーチだ!これもコーチングだ!」と思え、会社組織で働く人のコーチだけでなくワークライフとしてやってみたいと日本に帰ってから漠然と思っていました。もちろん、その前に私自身が目標としていた5時間切りをなんと4時間59分50秒という残りわずか10秒で達成したという達成感があってのことですが。
Aさんと東京都庁前のスタートからずっと一緒に走りました。私は関門タイムと距離をかいたメモを時々見ながらおよそ5キロごとにある関門を突破できるペースで伴走。Aさんは弱音を吐かず黙々と腕を振り、脚を出す動きを繰り返しました。さすがに未知の距離の20キロを辺りからペースが落ち、歩道を歩いている人に抜かされるほどのペースになりましたし、地面に視線は落ち、沿道の歓声とは真逆のまるで修行しているかのようにじっと耐え忍んでゴールまで走り続け、見事6時間台でゴールできました。
なぜこれが忘れられない場面かというと、しんどければ歩いてもいいのに(5時間以上かかってゴールする人は途中で歩いていることがほとんど)歩かずに走り続けられたというのと、私はただそばに付いていただけだったということです。むしろ「しんどかったら歩いてもいいんだよ」と甘い言葉をかけたりもしていました。それなのにAさんが目標どおりに有言実行できたのは、コーチングでよく言われるただ話を聴くだけでいいと同じで、ただそばに寄り添って一緒にゴールを目指すだけで十分なのではないかとその当時レースを振り返って気づいたことを覚えています。
そのときの経験からその後何人かの伴走でもそのスタンスは変えず、ほぼ全員が完走していますし、完走した人からは「田中さんがいたから走れた」という声をいただいています。
体験を語る私から見えたこと
以上のコーチとして忘れられない体験を同じブレイクアウトルームの男性二人が聞き、私が大切にしていると思われたことをフィードバックしてもらいました。
・同じ目線
・貢献する
・共感
・寄り添う
・安全地帯
もらったこれらのワードの中で自分には気づかなかったものは安全地帯でした。よくクライアント企業に対しては心理的安全性が大事という話はよくしていましたが、自分自身がそうであろうというのは自分にとって当たり前過ぎて忘れていたことだったように思います。
セッションという初対面の相手とのワークによってあらためて明文化された私のコーチング哲学は「私がコーチとして大切にしていることは、クライアントの安全地帯となり、寄り添うことである」。
自分の哲学というものは自分一人では見つけられないものであり、誰かに話すことで明らかになるという貴重な学びを得ることができました。皆さんも誰かと対話をし自分の哲学を見つけてみたら、仕事や人生の捉え方も変わってくるかもしれません。
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