働き方改革|つながらない権利をタイムマネジメントの視点で考える
2024/10/04
2024年が残り3か月を切りましたが、年始めに計画した「今年やりたいこと」に着手し実現できた人はどのくらいいるでしょうか。たいていの人は年間計画を立てて満足し、1週間も立たないうちに忘れてしまうのではないでしょうか。先日、クライアント企業で働く社員一人が「タイムマネジメントについて勉強したい」ということでしたので、そこの事業所の人たちを対象に90分の社内セミナーを行いました。
タイムマネジメントとは
タイムマネジメントを訳すと時間管理になりますが、時間をマネジメントすることはできません。なぜなら、1日24時間は変えられないし、自分が何歳まで生きるかを自ら決めることができないからです。タイムマネジメントは自分では変えられない決められないという限りのある時間の中で、いかに自分がやりたいことにエネルギーを費やすかということです。
とくに会社組織の中で仕事をしている人は、上司から頼まれた仕事から不意の来客、トラブルの対応、人手不足ということで自分の担当外の仕事のヘルプをすることもあるでしょう。なので、緊急な突発的な仕事に追われ、自分しかやれない優先的にやるべき仕事も自分がやりたいこと(仕事、プライベート問わず)も自分の思いどおりに進まないものです。よって、周りに振り回される中でも自分がやりたいことに手を付けられるようにする工夫が必要です。
have to 「しなければならないこと」 「緊急なこと」 |
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want to 「やりたいこと」 「緊急ではないが重要なこと」 |
コーチングを学び始めた頃に付いていたコーチのおかげと大会で入賞するようになった中学2年の頃から部活の陸上競技を通じてセルフマネジメント(そんな言葉は当時ありませんでしたが)を実践していたことで、私は早々にタイムマネジメントの考え方を取り入れ実践することを意識していました。そのせいか持論になりますが、「忙しい、忙しい」と嘆いている人ほどタイムマネジメントができていないと思っています。なぜなら、忙しいと嘆く人は時間に追われて結果パフォーマンスが芳しくないですし、逆にスケジュールがパンパンでほんとに多忙な人は時間や仕事に追われているでのはなく自分中心に時間が回っているように時間を思い通りに操っているように見えるからです。そういう人は自分にやりたいことがあり、その時間を最優先に確保して時間のやりくりをしています。これこそがタイムマネジメントです。
便利な社内連絡ツールの功罪
働き方改革やコロナ禍の行動自粛を機にリモートワーク、オンラインミーティングなど場所・時間を選ばず仕事ができるようになりました。それにより通勤時間や移動時間を他の時間に充てられたり、育児・介護しながら在宅で仕事ができるという働きやすさが向上しました。しかしその一方で、同じ職場で仕事をしていればしゃべらなくても相手の動きや様子を見ていればなんとなく状況がわかるのに、とくに上司側は部下の仕事の進捗状況が気になり報連相をより多く求めるようになります。そういったことから「つながらない権利」という言葉が生まれました。
冒頭のセミナーの中でも社内メール・SNSについて話題になりました。業種・業務の特性にも寄りますが、頻繁にいろんな部署から情報が届いたり、資料提出を求められたりし、どの件がどこのグループから来たのかがわからなくなり、それを探すのに時間がかかるという話を聞くことがあります。また、仕事を終え自宅に戻ってからとか休みの日に上司や他部署から電話やメールが届くことがあり、オンオフがなくちっとも気が休まらずストレスだという問題もあります。それではワークライフバランスがとれないどころかハラスメント(嫌がらせ)につながる恐れがあります。
つながらない権利に関する実態
つながらない権利とは、労働者が労働時間外には仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利のことです。その権利に関して2023年9月に18歳から59歳の有職者1,000名にインターネット調査した主な結果が下記のとおりです。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20231207.pdf
全体の約7割の人が「勤務時間外に社内の人から連絡が入る」そして「つながらない権利を主張し拒否したい」と思っているようです。そして残りの3割の人は連絡している側の人で連絡が取れないと仕事に支障を来たすと思っていると考えられます。
私も明らかに勤務時間外と認識できる時間帯である夜8時過ぎにチャットで「○○○の資料を送ってください」とメッセージが届いたことがあります。晩ご飯を食べて家で家族とくつろいでいる時にです。さすがにその時は「はて?」となりました。今日中に必要な資料ではなかったからです。おそらくその人は夜8時過ぎても会社で仕事をしていて、忘れる前に連絡しておこうという位のつもりだったのかもしれません。
仕事の振り方はコミュニケーションと同じ
話はタイムマネジメントに戻しますが、たしかに仕事をずっと自分が抱えるのではなく誰かに渡して身軽にするというのは仕事術の考え方の1つでしょうし、気がかりのことをなくして重要なことに手をつけるのもタイムマネジメントです。ですが、相手が部下であろうと下請け会社であろうと立場や両者の関係性を問わず、いま電話やメールをする必要性はあるのか?相手はどんな状況であり、どんな気持ちになるのだろうか?と一旦考えることが自己中心的にならず、また緊急なことにならないように重要なことに余裕を持って手を付けていくタイムマネジメントが、労働生産性だけでなく働きやすい働き方につながるでしょう。
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