組織開発|ワーク・エンゲージメントの視点から取り組みを考える
2024/07/18
ワーク・エンゲージメントとは、ポジティブで達成感に満ちた仕事に対する心の状態(活力・熱意・没頭)であり、組織・チームへの貢献意欲のことを言います。いわゆる職場におけるウェルビーイング(幸せ)と捉えてもいいでしょう。これが高いか否かを測るツールとして世界的に有名なのがユトレヒト・ワーク・エンゲージメント・スケールという仕事に関する調査票で、ある調べて国際比較をしたところ、日本の値は、ヨーロッパ諸国が合計得点の平均値が6点満点で4点前後のところ、3点未満で最も低い数字でした。こうした結果を踏まえて日本企業もただ従業員満足度(働きやすさ重視)だけでなく働きがいを高めて生産性を高める取り組みがよく見受けられます。
私も組織開発の仕事をしていますし、私が会社員時代に感じていたのも仕事のやりがいは感じていたもののその組織での‘頑張りがい’はあまり感じることができず、やりがいだけでは「やりがい搾取」と言いますかそれだけに頼ると心身疲弊するし持続的成長はおろか離職につながりやすくなることを重々わかっていますから、起業当時から心身の働きやすさだけでなく働きがい、そこで働くことの喜び・幸せをいかに組織で醸成していくかを永遠のテーマとしていろんな企業に携っています。
そんな中、生産性向上とワークライフバランスをテーマに取り組んでいるクライアント企業でワーク・エンゲージメント調査をすることになりました。その結果を見て思うところがありましたので綴りながら整理しようと思います。
ワーク・エンゲージメント調査
調査票は先述のスケールの簡易版を用いました。
*採点方法* 全くない 0点 ほとんど感じない 1点 滅多に感じない 2点 時々感じる 3点 よく感じる 4点 とてもよく感じる 5点 いつも感じる 6点 |
ワーク・エンゲージメントの3つの要素はそれぞれ、活力は就業中の高い水準の高いエネルギーや心理的な回復力のことでストレスレベルがいい状態のことであり、熱意は仕事への強い関与・仕事への有意味感・熱中・誇りのことで、一言で言えば働きがいに当たるもので、没頭は仕事そのものへの集中と没頭というやりがいのようなものです。
これらを自己評価するのは難しく個人差が出てきてもおかしくありませんが、責任者らの同意を得てその会社の正規・非正規問わず従業員の皆さんにやってもらいました。全体の結果としては日本企業の平均数値とほぼ変わりませんでした。そして、製造業という特性とラインではなく個々で完結させていく仕事・作業の点から熱意や没頭の中の「熱心である」「夢中になる」という項目は高めの点数でした。逆に低かったのが活力の項目だったので、なぜそうなのかをグループコーチングで意見を出し合ったところ、「そもそも朝起きて仕事が楽しみ!って思う人はいるのか?」という声や、風通しのいい会社と思っていたのが実は「挨拶をこちらがしないとしてこない」「仲のいい人としか挨拶しない」と言った意見もあり、その結果を踏まえて挨拶週間や全体朝礼をやった方がいいのではというアクションのアイデアが出てきました。
その他に営業の社員からは「社長さんに会うとみんな活力高い」し「自分は社長じゃないけど活力高い」と人も。それって自分のやりたいように自由にやらせてもらっているからじゃない?と問うとまさにその通りだったようですし、部署によっても合計点の平均が1点違っていたり、従業員一人ひとりを見れば会社平均より1点以上高い人もいれば1点以上低い人もいて、特に合計の平均点が1点台の人に関しては「そんなに点数が低くて(活力も熱意も没頭もなくて)なぜうちの会社で働くのか?」という疑問も湧いてきて、「それでもうちで働くメリットや魅力とは何なのか?」という問いを共有するいい機会になりました。
ワーク・エンゲージメントを高めるには
前項の営業社員のように、自分のやりたいようにやりたいという人(そういう人がほとんどかと思いますが)が仕事を任せてもらって自由にやれるスタイルはワーク・エンゲージメントが高い傾向があります。それはオープンなマネジメントスタイル(トップダウン型ではない)、柔軟な働き方(裁量性)、業務の効率化(ムダがない)、そして心身ともに健康である健康増進と関係があり、それらが高まるとワーク・エンゲージメントやモチベーションも高まります。さらにそれだけではなく、そういう社員が増えれば創造性や生産性も高まり、組織の売上や利益を高めるということが証明されているようです。
人は自分の好きなことや得意なことだったら、他人から指図されなくてもやるでしょうし、ムリして頑張らなくてもやり続けることができます。個々の特性に合わせた仕事のやり方を部下と対話して見直したり、出勤するのがストレスに感じるようならば職場の人間関係やコミュニケーションをスムーズにできるような会社全体の取り組みをしてみるのはいかがでしょうか。
また、従業員アンケートや調査は社内の人間が回収・集計というのはアンケートの答える側としてはそれだけで本音を書きにくいというストレスが生じるため、外部に委託してやってみることをお勧めします。もちろん、弊社でも各種アンケート調査を実施していますので気軽にご相談ください。
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