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職場環境の改善|各部署の棚卸しポイントと改善例

職場環境の改善|各部署の棚卸しポイントと改善例

2022/03/30


働く私たちのストレスには、物理的・科学的な職場のハード面のみならず、労働時間や仕事の量・質、人間関係といったソフト面も影響を及ぼしています。それ故、会社全体で取り組むべきこともあれば、部署単位で職場環境の改善を行う必要があるため、管理職は職業性ストレスの原因となる職場環境を理解する必要があります。

職場環境のチェックポイント

日常の職場管理や部下の観察、あらたまって面談を行うまでもなく、一緒にランチしたときやちょっとした雑談ができるタイミングで、部下から職場環境について「何か困っていることはなないか?」とか「体の調子はどうか?」から差し障りのない範囲で聞き、下記の項目から問題点をつかむようにします。

作業計画の参加と情報の把握

1)作業の日程と手順は適当か
2)裁量範囲を増やす必要はないか
3)過大な作業量がないか
4)作業の達成感があるか
5)必要な情報が全員に正しく伝わっているか

部下への仕事の与え方など健全なマネジメントができているかどうかです。報連相は上司だけに集まればいいものではなく、部下への情報共有も忘れてはいけませんし、モチベーションが上がるように部下の強みを活かした仕事のやり方を支援することも大事です。

勤務時間と作業編成

6)残業が恒常化していないか
7)繁忙期の作業方法は改善されているか
8)休日が十分取得できているか
9)勤務時間制や交代制は改善の必要はないか
10)個人の生活条件に合わせて勤務調整ができているか

会社ぐるみで取り組まないと改善できなこともあるかもしれませんが、せめて自分の部署が総体的にどのくらい残業しているのか、休日出勤や自宅に仕事を持ち帰っていないかなど把握し、部署で解決できることは取り組み、そうでなければ人員を増やしてもらうなど上申すべきです。また、部下の1人だけに仕事が集中し過重労働になっている場合は人を回すなど偏りのないようにしましょう。

円滑な作業手順

11)物品と資材の取扱いは適当か
12)作業場所は仕事がしやすい環境か
13)作業指示や内容は分かりやすいか
14)反復、過剰、単調作業がないか
15)作業ミスの防止施策を多面的に講じているか

仕事のストレスは仕事がハードなときだけでなく、逆にラクすぎるときも起こりやすいものです。仕事のモチベーションが上がり生産性も上がる動機づけはメンタルヘルスケアだけでなくマネジメントにおいて欠かせません。

作業場環境

16)温熱・音・視環境は適応か
17)有害な環境源があれば隔離されているか
18)職場の受動喫煙はないか
19)衛生設備や休憩設備は適当か
20)緊急時対応の手順は整備されているか

ウィズコロナによって作業場(仕事場)が会社だけでなく自宅あるいはレンタルオフィス、カフェ、さらにはオンライン環境(ミーティングなど)も含まれます。リモハラ(リモート・ハラスメント)という言葉が生まれるように、仕事のオン・オフを考えずに電話やLINEで必要以上に連絡をとってくる人もいますので、リモートワークのルールもしっかり決めることも必要です。

職場内の相互支援

21)上司に相談しやすい環境であるか
22)同僚同士でコミュニケーションがとりやすい環境か
23)チームワークは良好か
24)仕事に対する平等で適切な評価を与えているか
25)職場間の相互支援は推進されているか

職場の人間関係に関する項目ですが、社内に仕事のことでもプライベートのことでも何でも相談できる同僚や先輩が1人以上いるかどうかを把握するのが手っ取り早いと思われます。そういう人がいるかいないかでストレス度合いは違ってきますし、離職率にも関係してきます。

安心できる職場の仕組み

26)個人の健康や職場内の健康問題について相談できる窓口があるか
27)セルフケアについて学ぶ機会があるか
28)組織や仕事の急激な変化に対処できるか
29)昇進・昇格、資格取得の機会を明確にして、チャンスを公平に確保しているか
30)緊急時の心のケアは準備されているか

中小企業の場合、健康について社内で専門家に相談したり学ぶ機会はほぼないかと思います。が、中小企業でもメンタルヘルス不調者が各会社に1人や2人いたりすることは珍しくありません。健康経営優良法人の認定要件の選択項目に「ヘルスリテラシーの向上」があります。普段から健康意識を持ち、各従業員がセルフケアできたり、管理職が部下の不調を早期発見し対応(ラインケア)できるようにするためにも社内で健康セミナーを実施してはいかがでしょうか。

職場環境とストレスの関係

従業員のストレスを軽減し健康になることと、企業の生産性とは相互作業があるという「健康職場モデル」という考え方が10年以上前から出始め、いまでは「健康経営」として大企業だけでなく中小企業でも認知されるようになりました。

職場改善を主体にストレス対策を行う動きは、海外でも同様であり、しかも個人向けアプローチの効果が一時的・限定的であるのに比べて、職場環境等の改善を通じた対策の方がより効果的であったとILO(国際労働機関)が報告しています。

国内外の取り組みから、実際にストレス軽減に目指した職場改善にあたっては、現場の責任者と従業員が自主的に取り組むシステムをつくり、産業保健スタッフなどの専門家の支援を受け、自主的な改善を継続的に行っていくことが大切です。

各部署でできる職場環境改善の具体例

ストレス対策というと、職場の人間関係や個人のストレス対処方法など(セルフケア)が注目されますが、実際にストレスが軽減して働きやすい職場づくりに役立った職場環境改善は多岐にわたります。

<職場環境改善に役立った具体例>
・毎朝の定例会議でコミュニケーションをよくする
・リーダーへ裁量権を一部移譲し、業務の効率化を図る
・営業職が自分で集めた顧客情報を共有ファイルで全員が見られるようにする
・出先の行動をチャットワークやグループLINEなどで報告を簡素化に
・週1回ノー残業デーの設定
・フリーアドレスにし、好きな場所で仕事をできるようにする
・管理職にデスクワークの日をつくる
・多能工化を図り、最低2名が同じ業務を担当できるようにする
・1日に2枠のメンタルヘルス相談の枠を設ける

これらの事例は、労働時間や勤務形態、作業方法や職場組織、職場の物理化学的環境の改善、休息・休憩設備の充実、健康相談の窓口の設置など、労働生活全般にわたっていることに特徴があります。職場環境には、従業員の心の関係するあらゆる仕事上の要因が含まれます。人事労務管理体制や職場組織なども密接な関係があるため、日常的に従業員と接する職場の責任者によるラインケアの取り組みが、とても重要な役割を持ちます。



弊社では健康経営エキスパートアドバイザー兼健康管理士でもある組織開発コーチが、従業員向けの健康づくりセミナーやコミュニケーションの活性化のコーチングなど働きやすく働きがいのある職場づくりを支援しています。社内で健康に関する取り組みを検討の企業さまはお気軽にご相談ください。

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