職場に必要なコミュニケーション「雑相」
2022/02/16
組織で仕事をする上で欠かせないコミュニケーションの報連相。
しかし、今も昔も管理職が口にするのが「どうしてこちらから聞かないと報告をして来ないのか」「なぜ相談もせずに勝手に動くのか」。そういったコミュニケーション不全はウィズコロナでますますいろんな企業で増えています。
そこで報連相とは違ったコミュニケーションスタイルである雑相についてご紹介します。
- ○ ビフォーコロナ|働き方改革の成果
- ○ ウィズコロナ|顕在化された課題
- ・ウィズコロナによるコミュニケーションの変化
- ・リモートワークや時差出勤による影響
- ○ 「報連相」よりフレキシブルな「雑相」
- ・職場に必要な5つのコミュニケーション
- ・なぜ雑談と相談が有効なのか
ビフォーコロナ|働き方改革の成果
新型コロナウイルスが日本で拡大し始めたのが2020年の冬でしたが、その前の日本はどのような状況だったでしょうか。
以前から増えていたインバウンドで観光地はどこも国内外の旅行客で賑わい、東京オリンピックの開催年(のはずだった)を前に日本の景気回復へ期待が高まっていました。そして、働き方改革関連法が4月からスタートし、有休取得促進や時間外労働の上限規制(大企業のみ)が義務付けられるようになったことで、経営者側はいかに労働時間を減らし生産性を高めるかにさらに注力するようになりました。
デロイトトーマツの『働き方改革の実態調査2020』によれば、働き方改革を実施している企業と推進中の企業の比率は、電通過労死事件が起きた2015年が34%だったのに対し、2019年から20年にかけては89%と2倍以上に高くなっています。
また同調査結果によると、2017年と2019年とを比較して急増した働き方改革の検討施策は業務プロセス等の見直しと在宅勤務・オフィス外勤務の促進でした。それに比べてコミュニケーションに関わるコミュニケーションの高頻度化とマネジメントスタイルの改善は検討施策の下位という結果に終わりました。
ウィズコロナ|顕在化された課題
2020年に入り、新型コロナウイルスが国内外に蔓延し、緊急事態宣言が発令するなどで当たり前(だと思っていた)の生活ができなくなり、どの企業も働き方改革を実践することに。時間も場所も選ばないワークスタイル、政府が目指している働き方が当たり前の世の中になってきました。
ワークスタイルの変化は時差出勤、在宅勤務、オンライン会議が主ですが、業種や職種、会社の諸事情などにより在学勤務ができない企業も少なくなく、それぞれ課題があるようです。
日本能率協会が2020年5月に調査した中の『管理職が抱える在宅勤務の課題』では、このような課題が挙げられました。
・在宅勤務無し→社内のコミュニケーション、通信環境の整備、情報セキュリティ
・コロナ禍で在宅勤務→社内のコミュニケーション、健康維持、ぺーバーレス化、社内決済の電子化
・以前から在宅勤務→社内のコミュニケーション、部下のマネジメント、OJT、通信環境の整備
注目すべきは在宅勤務の有無関わらず、管理職が抱えている課題となっているのが社内のコミュニケーションです。
ウィズコロナによるコミュニケーションの変化
・在学勤務や時差出勤で顔を合わさなくなった
・その代わり、オンラインミーティングやLINEやチャットでの情報共有が増えた
・飲み会どころか一緒にランチすらしなくなった
・マスクで相手の表情や感情がわかりづらくなった
これらは部下の状態や仕事の進捗を上司がタイムリーに把握することが難しくなっていると考えられます。
リモートワークや時差出勤による影響
・仕事に必要な報連相や意思疎通に苦労
・オンとオフの切り替えが難しくなった
・人としての交流機会がなくなった
・相手の様子が表情から読み取れず、適切な対応がとれない
チャットなどSNSを報連相のツールとして使っている企業であれば、かろうじて情報のやり取りはできているかもしれませんが、対面で得られている心理的安全性は低くなるのと、とくにネガティブな情報は部下からは報告しづらくなっている傾向が見受けられます。
「報連相」よりフレキシブルな「雑相」
ところで報連相の主体はどこにあるのでしょうか?
答えは上司です。
従来のトップダウン型のマネジメントスタイルの場合、上司が独りで戦略を考え決断を下し、部下に指示・命令を下すために、「上司に相談する」「上司に連絡する」「上司に報告する」が必要でした。
しかし、目まぐるしく社会が変化し何が正解かもわからない時代に、上司だけが情報を持っていて部下には情報がないというマネジメントは限界が来ています。上司、部下に関わらず同じ組織の人間、同じミッションを果たすもの同士として情報だけでなく知識や感じていること、考えたことを双方向でやり取りする方がスピーディーであり1人では考えもつかなかった面白いアイデアが生まれるかもしれません。
とは言え、各々感じていることや考えたことを口にするのは勇気のいることです。私が目の当たりにした例ですが、社内会議で社長から「みんなの意見を聞きたいから、正直に言ってごらんなさい」と言われ、社長とは別の意見を述べた社員が「君はなんてくだらないことを言っているんだ!」と激怒されてしまいました。さすがにその後発言した人はいませんでした。
このようなことがないように、部下が自ら仕事や会社の今後について主体的に考え、アイデアを出してくれるような組織になるためには、経営者がトップダウン型だけのマネジメントスタイルから脱却するのと、中間管理職であれば報連相だけではなく部下が上司に雑相(雑談と相談)しやすくなるコミュニケーションを心がけることをおすすめします。
職場に必要な5つのコミュニケーション
酒井譲さんが書かれた『ご機嫌な職場』によれば、職場には大きく公式のコミュニケーションと非公式のコミュニケーションが存在し、5つのコミュニケーションに分類され、それらは全て必要と述べられています。
<職場に必要な5つのコミュニケーション>
◎公式のコミュニケーション
・情報伝達型-会議、日常の報連相、顧客情報共有やプロジェクトの進捗報告、稟議書などの文書
・問題対応型-問題が生じたとき、問題の原因と対策を考えるコミュニケーション
◎非公式のコミュニケーション
・人間関係維持型-職場における何気ない会話(雑談)や懇親会、社内イベント
・個別対応型-上司が部下の悩みを聞いたり、先輩が元気のない後輩を勇気づけるときの対応
◎公式と非公式が半々のコミュニケーション
・対話型-ブレインストーミング、ディスカッション、1on1ミーティング
コロナ禍でも新たな挑戦をし、うまくいっている企業はおそらく5番目の対話型のコミュニケーションができていると考えられます。なぜかというと、対話型は非公式コミュニケーションの良さである自由なムード(心理的安全性がある)でありながら公式コミュニケーションの真剣な話(仕事に必要な事柄)を双方向で行う目的のある会話です。
今は突拍子もないアイデアがバズる時代です。当たり前を取っ払い限界を設けずに自由な発想を自由に発言し合える対話は創造的コミュニケーションと言えます。
なぜ雑談と相談が有効なのか
部下が上司に対して積極的に報連相をしてこない理由は、必要がないと思っているケースと報連相しづらいと思っているケースが考えられます。上司がコミュニケーションのバリエーションを増やすことで解決できる後者について説明します。
私が会社員時代のことを思い起こせば、どのタイミングで報連相したらいいかを部下なりに考えていたように思います。自分の仕事の進み具合だけでなく上司が課長なら課全体、部長なら部全体の置かれている状況を推し量ったり、上司の機嫌も伺っていました。
ということは、上司から報連相をしやすい空気や関係性をつくることが手っ取り早いということです。
私のクライアントは、部下から報連相をして来やすくなるように、朝と午後に自分の好きなコーヒーをみんなに入れるようにしました。社長が豆から挽いてドリップするその動きとコーヒーの香りも手伝って、そのコーヒータイムの時はとくに社長の臨戦モードがオフになり、社員がプライベートの話など雑談から次第に仕事の相談を自然とするようになりました。
このように一見どうでもいいような雑談はコミュニケーションの潤滑油として機能します。この人はどんな人かが会話を通してわかれば、味方も変わるし、その人の背景(家族のこと、夢、趣味など)も知ることができます。たとえ仕事上の厳しさがあったとしても、上司の仮面を外して人と人とのコミュニケーションを心がけることで心理的安全性は高まるものです。
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