ストレスのメカニズム|一見収まった状態こそ要注意!
2021/10/25
健康経営優良法人の認定要件の選択項目の中に『メンタルヘルス対策』があります。
これは『従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策』の1つであり、
他には保健指導、過重労働対策、受動喫煙対策、健康増進・生活習慣病予防対策、
感染症予防対策があります。
メンタルヘルス対策は万が一メンタル不調者が職場にいたとしても
常に計測して判定することはできませんし、客観的に見極めるのも難しい性質があります。
それが他の対策と大きくことなるところであり、部下と関わりの多い管理監督者(上司)が
メンタルヘルス、ストレスとは何かを理解している必要があります。
ストレスの基礎知識
ストレス学説の提唱者 ハンス・セリエ博士は次のように言いました。
「ストレスとはエネルギーの発生状態である。周囲に起こった出来事に対して
私たちの心身がその状態に適応しようとエネルギーが発生している状態をストレスという」。
ストレスはもともと物理学用語で「歪み」や「ひずみ」を意味しています。
それらが元に戻ろうとエネルギーが働いている状態がストレスであり、
誰にでも備わった生体反応です。
ストレスの度合いをストレスレベルと言い、適度なレベルであれば、
やる気が出て仕事の生産性は上がりますが、ストレスレベルが高すぎたり、
その状態が長く続くと様々な症状や障害が出てきます。
セリエ博士はどんな病人にも、その病気になる前に疲労困憊と
3つの共通の症状があることを突きとめました。
①胃・十二指腸の潰瘍・出血
②副腎皮質の増大
③脾臓・胸腺の萎縮
です。
これらの症状は、体が様々な刺激(ストレッサー)に適応しようとした結果だとし、
これらの症状を「一般適応症候群」=ストレス状態と命名しました。
ストレスは反応している状態であり、
心理的あるいは身体的な負担となるような出来事などの
ストレスの原因となるものがストレッサーです。
(一般的に使われるストレスという言葉はストレッサーとストレス反応を総称したもの)
ストレス反応はストレッサーによって引き起こされた不安や怒り、
不満、抑うつ気分等の心理的反応、疲労感、食欲不振、不眠等の身体的反応、
また喫煙や飲酒量の増加や遅刻、無断欠席等の行動に表れ、人によって反応は様々です。
メンタルヘルス対策はメンタルヘルス不調の予防だけでなく、
適度なストレスレベルを維持し、充実した毎日を送る健全な職場環境をつくり、
一人ひとりがモチベーション高く働けるようにするモチベーション・マネジメントの
側面を持ち合わせています。
ストレスの種類と反応の3段階
部下のストレスレベルを高めているストレッサーが特定できればできるほど、
上司は部下の過剰なストレスに対し、具体的に対応していくことが可能になります。
<ストレッサーの種類>
①物理的ストレッサー:寒冷・高温、騒音、環境汚染など
②化学的ストレッサー:酸素の欠乏、栄養量や質の過不足など
③生物学的ストレッサー:ウイルスや病原菌の侵入など
④心理社会的ストレッサー:人間関係、経済状態など
ストレス反応は、ストレッサーの強さ、持続などの他、
個人的要因や緩衝要因、時期によって異なりますが、
メンタルヘルス不調に至るまでには3つのプロセスがあります。
<ストレス反応の3段階>
①警告反応期:ストレッサーに直面し、身体にショックを受けている時期
⇒緊張によって体が硬直し、肩や首がこったり、手足の先が冷える。動悸がする
②抵抗期:ストレッサーに対する抵抗力が増し、一見バランスがとれた安定した時期
⇒体がだるく疲れる、不眠気味になる、集中力低下、緊張や不安
③疲憊期:抵抗力が下がり、心身に様々な症状をもたらす時期
⇒人と話すのが億劫になる、化粧や服装に関心がなくなる、人生がつまらなくなる
警告反応期であれば簡単なストレスコントロールで対応可能ですが、
抵抗期は週末に十分休息する必要がありますし、
疲憊期は専門家に診てもらい、1か月以上かけてストレスレベルを
軽減するよう対応しなければなりません。
ストレスのメカニズム
ストレッサーに直面すると、経験や記憶に基づいて
困難性や苦痛の程度の認知、評価を大脳皮質で行われます。
それらの情報は感情の中枢と言われる大脳辺縁系に伝達され、
感情と行動を引き起こします。
感情は脳内のノルアドレナリン(怒り)、ドーパミン(嬉しさ・楽しさ)、
セロトニン(眠気)等の神経伝達物質により引き起こされますが、
神経伝達物質の産生や伝達に障害が起こると、うつ病や不安障害等の
メンタルヘルス不調が起こります。
内分泌系・自律神経系の中枢である視床下部で
感情の興奮が伝えられ、自律神経系、内分泌系、免疫系の反応(ストレス反応)を
引き起こし、神経細胞が活性します。
最終的にはコルチゾール(副腎皮質ホルモン)やβ‐エンドルフィン等が脳内で分泌され、
自律神経の過剰反応を抑制します。
内分泌系、自律神経系、免疫系は生命を守り、
通常の身体活動を維持するのに必要な生体のバランスを保つ生命維持機構です。
ですが、急性の強いストレスや持続的な慢性ストレス状態になると、
生命維持機構の機能が亢進し、免疫系が抑制されバランスを崩し、
健康障害が発生するというわけです。
ストレスによる心身や行動の変化は、
本人が気づくよりも周りの人が先に気づきやすかったりします。
上司や同僚は仕事ぶりだけでなく、今までとは違う行動や
周りから浮く行動を見つけたら、上司は本人と1対1で
話を聞く機会を作り、困っていることはないか、
どんな支援を必要としているかを聞きましょう。
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