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職場におけるメンタルヘルスケアの基本的な考え方と進め方

職場におけるメンタルヘルスケアの基本的な考え方と進め方

2021/08/26


メンタルヘルス・マネジメントとは、
その言葉どおりに心の健康をマネジメントすることであり、
組織的に従業員の心の健康に留意し、メンタル不調を予防するにとどまらず
最近よく聞かれる‘ワークエンゲージメント’につなげたり、
‘健康経営’の取り組みの1つです。

コロナうつという言葉もあるように、
生活様式の変化や先行き不透明の世の中であれば、
尚のことメンタルヘルスに関心を持つことは重要なことです。

またハラスメントの種類が年々増えているように、
自分はそのつもりなかったのにいつの間にか加害者になっていたり、
被害者となって心の健康を害することも他人ごとではありません。


メンタルヘルス・マネジメントには3つのアプローチがあります。

1.経営陣・人事労務管理者等による人事方針・戦略策定と会社全体での取り組み
2.上司による部下のメンタルヘルスの推進(=ラインケア)
3.全従業員各々による自身のストレスコントロール(=セルフケア)

当コラムでは2の上司による部下のメンタルヘルス対策について
ご紹介していきます。

メンタルヘルスケアの基本的な考え方

こころの健康づくりは、従業員自身がストレスに気づき、これに対処することの必要性を認識することが重要です。しかし、従業員自身の力だけでは取り除けないストレス要因が存在するため、それぞれの会社で行うメンタルヘルスケアの積極的推進が不可欠です。

職場におけるメンタルヘルスケアを推進するためには、心の健康に影響を与える職場の要因の具体的問題点を様々な面から把握し、これを改善することが重要です。

また、従業員や管理者への心の健康に関する正しい知識の付与も必要であり、従業員からの自発的な相談を促進するなど心の健康問題を解決していくうえで大きな役割を果たします。

<職場でのメンタルヘルスケアの具体例>
・職場内の相談しやすい雰囲気づくり
・相談体制の整備
・専門的知識を有する外部とのネットワークの構築
・社内研修の実施

各部署におけるメンタルヘルスケアの留意事項

心の健康について、特に上司は以下の点を理解しておく必要があります。

1)メンタルヘルスケアは、心の健康に問題のある従業員を対象とする対策ではなく、全ての従業員を対象として心の健康を確保しようとする対策である
2)パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの排除はもちろん、良好な人間関係の構築などの職場の雰囲気づくり、環境づくりには管理職の果たす役割が極めて重要であることを認識する
3)心の健康については個人差が大きく、客観的な想定方法が十分確立していないというのが実情である。仮に職場において心の健康に問題を抱える従業員が生じた場合には、偏見や誤解に基づく安易な憶測などを行わないようにする
4)心の健康問題のあった従業員が職場復帰する場合には、管理職は産業医などの事業場内産業保健スタッフや人事労務部門との適切な対応に努める
5)管理職は、従業員の心の健康に関与するため、従業員のプライバシーの保護及び従業員の意思の尊重に留意することが重要である。ひいては職場の心の健康づくり対策がより効果的に推進されるための必須条件である

メンタルヘルスケアの具体的な進め方

職場環境等の改善

職場環境等の改善の対象は、
・職場環境
・労働時間
・仕事の量と質
・人間関係
・組織及び人事労務管理体制
・職場の文化や風土 
などで、大きくは下記の3つとなります。

1)職場環境等の評価と問題点の把握
従業員に職場環境等のアンケートをとったり、意見を聞き取り、改善すべき点を洗い出します。また50名以下の職場でストレスチェックを義務付けられていない場合でも、産業保健スタッフ等によるストレスに関する調査を実施します。

2)職場環境等の改善
最近ではコミュニケーションのとりやすい雰囲気やレイアウト、フリーアドレスなどを導入している会社も増えていますがそういったハード面や、コロナ禍によって増えたリモートワークや時差出勤といったソフト面などを見直します。
さらには管理職の人間関係調整能力や面談スキルの習得、組織の見直し等も従業員の声や専門家の助言を踏まえて行います。

3)従業員への配慮
管理職は部下の勤務状況を日常的に把握し、個々の部下に過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じないようにする等、能力や適性及び職務内容に合わせた配慮が必要です。

従業員に対する相談対応

管理職は、日常的に部下からの自主的な相談に対応し、話を聞き、適切な情報を提供し、必要に応じて産業保健スタッフ等への相談や受診を促す必要があります。

管理職への教育研修及び情報提供

経営トップは管理職に対して、以下にの項目等を内容とする教育研修・情報提供を行いましょう。

1)ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識
2)管理職の役割及び心の健康問題に対する正しい態度
3)職場環境等の評価及び改善の方法
4)従業員からの相談の方法(話の聴き方、情報提供及び助言の方法等)
5)心の健康問題を持つ復職者への支援の方法
6)社内産業保健スタッフ等及び社外資源との連携方法
7)セルフケアの方法
8)社内の相談先及び社外資源に関する情報
9)メンタルヘルスケアに関する事業場の方針
10)従業員のプライバシーへの配慮等
11)職場でメンタルヘルスケアを行う意義

管理職への支援等

経営トップは管理職に対して、従業員への対応についての方針を明示し、実施すべき事項を実施するとともに、管理職の活動を理解し支援する(社内外から必要な情報やサポートが受けられるなど)ことが必要です。



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