働く女性の健康保持増進には上司や同僚の理解が不可欠!
2021/04/23
健康経営の取り組みとして、女性の健康保持・増進があります。
働く女性の半数近くが女性特有の健康問題や女性に多くあらわれる症状によって職場で困った経験を有しています。
女性特有の健康課題の中でも妊娠や出産に係る女性の生物学的機能・役割を保護すること(母性保護)は特に重要なことであり、法令に基づいて取り組みます。
困っている健康課題や必要なサポートは女性従業員の業種や年代などの背景によっても異なるため、それぞれの会社で実態を把握し、適した体制や制度などを整備する必要があります。
- ○ 女性の健康保持・増進の必要性
- ○ 会社で取り組むべき母性保護について
- ・勤務先で困った経験
- ・女性特有の健康課題・症状が原因で職場で何かをあきらめた経験の有無
- ・職場で何かをあきらめた際の健康課題内容
- ○ 法令で定められた母性保護以外の女性の健康保持・増進のための取り組み
- ・健康課題を理由に職場で何かをあきらめた際に職場で必要と感じたもの、あれば助かったもの
- ○ 健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)における適合基準
女性の健康保持・増進の必要性
女性の従業員比率が全体平均で44%と半分近くを占める(2016年調べ)ようになりました。
少子高齢化が進み、労働力人口の減少や年金受給開始年齢の繰り下げなどにより、性別や年齢、病気や障害の有無などを問わず多様な人財が安心して意欲的に働き、その能力を最大限発揮できる会社・社会を作ることで、労働力・生産性を維持・向上させていく必要性が高まっています。
2016年に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律「女性活躍推進法」が施行されました。
そして、国が2020年までにさまざまな分野の管理職の少なくとも30%を女性が占めることを国家的目標として掲げるほど、女性の労働参加と活躍しやすい職場環境を整えることが求められています。
会社で取り組むべき母性保護について
「働く女性の健康増進」に関する実態調査(2017年度)の中で、職場で何かをあきらめた経験の原因となった健康課題として、「妊娠・出産に関する症状・疾病」が最多の回答でした。
勤務先で困った経験
月経関連の症状や疾病 36.9%
月経前症候群 22.1%
更年期障害 9.9%
メンタルヘルス 9.9%
不妊・妊活 3.7%
女性のがん 2.8%
女性特有の健康課題・症状が原因で職場で何かをあきらめた経験の有無
正社員として働くこと 24.6%
昇進や責任の重い仕事につくこと 20.4%
希望の職種を続けること 16.2%
管理職となること 13.8%
研修や留学などキャリアアップ 11.5%
職場で何かをあきらめた際の健康課題内容
妊娠・出産に関する症状・疾病 18.9%
月経関連の症状や疾病 17.4%
メンタルヘルス 15.6%
月経前症候群 12.5%
女性特有の妊娠・出産に関連する事項(母性)の保護については、男女雇用機会均等法、労働基準法によって必要な対応が定められていますので、基本事項として法令の内容を確認して対応しましょう。
女性従業員が必要な時に措置を求めやすく、必要かつ適当な措置が円滑に実施されるためには、就業規則等に措置の取り扱いや申請手順などを定めておくことや、相談窓口を決めて周知しておくことが重要です。
法令で定められた母性保護以外の女性の健康保持・増進のための取り組み
男女雇用機会均等法や労働基準法の法令遵守はもちろんのこと、健康経営として女性の健康保持・増進に取り組む方法にどんなものがあるでしょうか。
健康課題を理由に職場で何かをあきらめた際に職場で必要と感じたもの、あれば助かったもの
会社による業務分担や適切な人員配置などのサポート 40.7%
受診や検診、治療のための休暇制度や柔軟な勤務形態など両立を支えるサポート 32.6%
上司や部署内でのコミュニケーション 32.3%
総務部や人事部などからのアドバイスやサポート 25.8%
ライフイベント(病気、出産、育児など)に関係なく活用できるキャリアアップ制度 21.6%
産業医や婦人科医、カウンセラーなどへの相談窓口 21.1%
保険者によるサポート 19.0%
事前に予防や意識啓発を図るための健康教育 14.0%
女性労働協会が行ったヒアリング調査では、妊娠、出産にあたりどのような職場環境が整えば望ましいと思っているかを女性同労者に尋ねたところ、「制度の利用に関して職場の上司・同僚の理解が得られること」が最も多くみられたようです。
制度や規則、相談窓口、支援プログラムなどを整備したうえで、全従業員が正しい理解の下で積極的に母性保護や女性の健康保持・増進に取り組む風土を醸成することが重要と思われます。
これらに取り組むことが女性従業員のためだけではなく、一緒に働く多様なすべての従業員が働きやすくなる風土や職場環境、制度などを創ることにつながります。
そう考えると、経営層や女性当事者だけでの議論によって決定し、進めるのではなく、経営課題の一つとして全従業員を当事者として巻き込んで議論し、推進していくことが大切だといえます。
健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)における適合基準
<評価項目>
従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策>健康増進・生活習慣病予防対策>「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」
本項目は、女性特有の健康課題に対応する環境の整備や、従業員が女性特有の健康課題に関する知識を得るための取り組みを継続的に行っていることをもって適合する。
<適合例>
・婦人科健診・検診を受けやすい環境の整備
・従業員や保健師等による女性の健康専門の相談窓口の設置
・女性特有の健康課題に対応可能な体制構築
(産業医や婦人科医の配置や外部の医師の紹介など)
・女性の健康づくりを推進する部署やプロジェクトチームの設置
・妊娠中の従業員に対する業務上の配慮の社内規定への明文化
・生理休暇を取得しやすい環境の整備
・女性の健康課題等に関する理解促進のための研修・セミナーの実施
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