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ワークエンゲージメントを高めて健康増進も生産性も高めよう

ワークエンゲージメントを高めて健康増進も生産性も高めよう

2020/11/27


ワークエンゲージメントは、健康増進と生産性向上の両立につながる概念として、心理的安全性と併せていま注目されています。

健康経営では、組織と個人の両方に向けた取り組みが、ワークエンゲージメントの向上に有効と考えられています。

ワークエンゲージメントとは?

国連による持続可能な開発目標(SDGs)では、「3.すべての人に健康と福祉を」「8.働きがいも経済成長も」に見られるように、健康、働きがい、経済成長は世界共通の開発目標に位置づけられています。

また、世界保健機関(WHO)は、2017年の世界メンタルヘルスデーのテーマとして「職場のメンタルヘルス」を取り上げ、経営者や管理職は、健康の増進と生産性の向上にかかわる必要があると述べています。

2000年前後から、心理学および産業保健心理学の領域でも、人間の有する強みやパフォーマンスなどポジティブな要因にも注目する動きが出始めました。このような動きの中で新しく提唱された考え方(概念)の1つが『ワークエンゲージメント』です。

忠誠心や愛社精神から貢献意欲へ

ワークエンゲージメントとは、
「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)
「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)
「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)
の3つが揃った状態であり、
バーンアウト(燃え尽き)の対概念として位置付けられています。

ポジティブで達成感に満ちた仕事に対する心の状態であり、
組織・チームへの貢献意欲、つまり職場におけるウェルビーイングのことです。

ワークエンゲージメントは健全なモチベーション

従業員一人ひとりが健康でイキイキと仕事に取り組むことは、従業員の幸せ(ウェルビーイング)にとっても、組織全体の生産性にとっても重要です。

しかし、これまではメンタルヘルス対策と経営とが相互に協調することは多くありませんでした。

ところが、産業構造の変化、働き方の変化、少子高齢化など社会経済状況の変化に伴い、従業員一人ひとりが健康で、なお且つ、イキイキと仕事に取り組むことが重要になってきました。

2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、テレワークや時差出勤などを初めて実施した企業も少なくありませんが、上司は部下の仕事ぶり、部下は仕事遂行に必要な情報がわからない中で働かざるを得なくなりました。

そうなると、会社・経営陣、上司、部下が1つのゴールに向かって仕事をしていくには、意義を感じられコミットメントできる共通した組織の目標と関係性、コミュニケーションが重要であることから、心理的安全性もワークエンゲージメントに関わる重要な要素となります

ワークエンゲージメントとワーカホリズム

ワークエンゲージメントと関連する概念

ワークエンゲージメントに注目したメンタルヘルス対策を検討する際、関係するほかの概念と区別する必要があります。その1つが『ワーカホリズム』です。

<共通点>
ワーカホリズムは、活動水準が高く、仕事に多くのエネルギーと時間を注いでいる点で、ワークエンゲージメントと共通しています。

<相違点>
・ワーカホリックな人は「強迫的に」働く
 -完璧主義
 -周りからの期待以上の成果を常に出そうと思っている
 -仕事のことが頭から離れない
 -職場から離れると罪悪感を覚え、不安で落ち着かない
 -仕事をせざるを得ない(have to work)
・ワークエンゲージメントが高い人は「充実感を覚えながら」働く
 -仕事が楽しい
 -仕事にやりがいを感じる
 -その仕事が重要だと思っている
 -もっと仕事をしたい(want to work)

つまり、ワーカホリズムは仕事への態度が否定的であるところが、ワークエンゲージメントとは「夢中型の努力」と「我慢型の努力」の違いがあります。


ワークエンゲージメントが高いと?

1)健康に関しては、心身の健康が良好で睡眠の質問が高い

2)仕事・組織に対する態度では、職務満足感や組織への愛着が高く、
  離職・転職の意思や疾病休業の頻度が低い

3)パフォーマンスでは、自己啓発学習への動機づけや創造性が高く、
  役割行動や役割以外の行動を積極的に行い、部下への適切な
  リーダーシップ行動が多い

など、心身共に健康で、仕事や組織に積極的に関わり、良好なパフォーマンスを
有しているといえます。

ワークエンゲージメントを高めるには?

ワークエンゲージメントを高めるための工夫は、組織ができる工夫と従業員個人ができる工夫とに整理することができます。

組織できる工夫では、従業員の「外的資源」、職場内の仕事の資源を増やすことで、従業員一人ひとりの、さらには組織全体のワークエンゲージメントを高めることを狙いとしています。

これに対して、従業員ができる工夫では、一人ひとりが「内的資源」、個人の資源(心理的資源)を強化することです。

これらの活動をスムーズに展開するには、関係者が共通の目標と考え方の枠組みを持つことが重要です。

仕事の要求度ー資源モデル

仕事の要求度―資源モデル

このモデルは、「動機づけプロセス」と「健康障害プロセス」の2つのプロセスから構成されます。

<動機づけプロセス>
仕事の資源・個人の資源
  ↓
ワークエンゲージメント
  ↓
健康・組織アウトカム

<健康障害プロセス>
仕事の要求度(仕事のストレッサー)
  ↓
ストレス反応(バーンアウト)
  ↓
健康・組織アウトカム


従来のメンタルヘルス対策では、健康障害を防ぐことに専念していました。
しかし、イキイキとした職場づくりでは、2つのプロセスの出発点である「仕事の要求度」の低減と「仕事の資源」の向上に注目します。

このうち、仕事の資源は、ワークエンゲージメントの向上だけでなく、ストレス反応の低減にもつながることから、仕事の資源の充実と強化が、イキイキとした職場づくり、ひいては健康経営にとって重要になります。

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